研究課題/領域番号 |
24591481
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
奥村 裕司 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (70294725)
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研究分担者 |
二川 健 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (20263824)
平坂 勝也 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (70432747)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 高病原性鳥インフルエンザウイルス / ウイルス活性化酵素 / 膜結合型プロテアーゼ |
研究概要 |
高病原性鳥インフルエンザウイルスが感染性を獲得するためには、弱毒株同様、宿主側のプロテアーゼによるウイルス外膜糖タンパク質(ヘマグルチニン:HA)の限定分解が必須である。高病原性である所以は、このHAのプロテアーゼ切断部位が、複数の連続した塩基性アミノ酸(RKKR↓、KKKR↓など)から構成されている点にある。また、高病原性鳥インフルエンザウイルス感染は全身性に広がることから、全身に発現し、特異的なHA切断部位配列を認識する宿主プロテアーゼの探索を進めた結果、新規ウイルス活性化酵素(MSPL/TMPRSS13)を発見した。本研究では、MSPL/TMPRSS13による高病原性鳥インフルエンザウイルス活性化機構の詳細を、1)MSPL/TMPRSS13安定発現細胞株を用いた培養細胞レベルでのウイルス感染実験、2)特異的阻害剤を用いた酵素活性の阻害とウイルス感染増殖様式の変化、3)MSPL/TMPRSS13ノックアウト(KO)マウスを用いた個体レベルでのウイルス感染実験、4)特異的発現調節機構を応用した酵素活性の増減とウイルス感染増殖様式の変化から明らかにし、具体的なウイルス感染制御法を示す。本年度は、まず培養細胞レベルでのウイルス感染実験を行うとともに、KOマウスを用いたウイルス感染実験に取り組んだ。MSPL/TMPRSS13安定発現細胞株を用いた解析では、HAが正しい部位で切断され、ウイルスの感染・増殖が確認できた。KOマウスを用いた解析では、ウイルス感染に由来する肺の炎症所見がKOマウスにおいて軽度であり、炎症性サイトカインIL-1βレベルも有意に低かった。よって培養細胞レベルのみならず、個体レベルでも、MSPL/TMPRSS13が高病原性鳥インフルエンザウイルスの感染・増殖に関与することが照明された。現在、MSPLの構造解析を基盤とした特異的酵素阻害剤の探索を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、MSPL/TMPRSS13による高病原性鳥インフルエンザウイルス活性化機構の詳細を、1)MSPL/TMPRSS13安定発現細胞株を用いた培養細胞レベルでのウイルス感染実験、2)特異的阻害剤を用いた酵素活性の阻害とウイルス感染増殖様式の変化、3)MSPL/TMPRSS13ノックアウトマウスを用いた、個体レベルでのウイルス感染実験、4)特異的発現調節機構を応用した酵素活性の増減とウイルス感染増殖様式の変化から明らかにし、具体的なウイルス感染制御法を示すことを達成目標としている。現段階で既に、1)および3)はおおむね目標を達成しており、2)の達成に向けた研究も順調に進んでいることから、「研究の目的」の達成度はおおむね順調であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、現在進めているMSPLの構造解析を成功させ、それを基盤とした特異的酵素阻害剤を見出すことに全力を尽くす。さらに、これを成功させることによって、特異的阻害剤を用いた酵素活性の阻害とウイルス感染増殖様式の変化を、MSPL/TMPRSS13安定発現細胞株ならびにMSPL/TMPRSS13ノックアウトマウスを用いて解析する。本結果は、最終目標である具体的な高病原性鳥インフルエンザウイルス感染制御法の確立に大きく近づくものである。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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