研究分担者 |
祖母井 庸之 帝京大学, 医学部, 講師 (10311416)
越尾 修 帝京大学, 医学部, 助教 (30365986) [辞退]
永川 茂 帝京大学, 医学部, 助教 (50266300)
菊地 弘敏 帝京大学, 医学部, 准教授 (80338681)
上田 たかね 帝京大学, 医学部, 助教 (80459312)
中野 竜一 帝京大学, 医学部, 助教 (80433712)
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研究実績の概要 |
1)ヒト好中球をA. baumannii(A.bau)標準株や緑膿菌 PAO1 株で刺激し, 1時間培養後の好中球細胞外トラップ (NETs) 形成をみた。緑膿菌株刺激ではNETs 形成がみられたが, A.bau刺激ではNETs 形成は少なく, 殺菌能をみても緑膿菌に比較して殺菌されにくかった(論文掲載)。 2) A.bauと緑膿菌(PAO-1株)肺感染マウスモデルを用いた病原性の比較では,菌接種2週間後においてA.bauの標準株は臨床分離株に比べてやや高い致死性を示したが,緑膿菌ほど強い致死性は示さなかった。肺組織では標準株と臨床分離株で病変組織像に差はみられなかった。 3)大腸菌とA.bau 標準株及び多剤耐性株(MDRA), 緑膿菌, 多剤耐性緑膿菌 (MDRP)由来のLPSを種々の濃度で好中球に作用させ, 好中球内の遺伝子発現変化を定量解析した。LPSの種類に関わらずTLR4, CD14の遺伝子発現は抑制され,炎症性サイトカインとTREM1遺伝子発現は増強した。MDRA由来LPSによる遺伝子発現誘導作用が最も強く,好中球内の炎症性サイトカインやTREM1の遺伝子発現を増強した(論文投稿中)。また,精製A.bau由来膜小胞はヒト好中球活性酸素誘導能を示さなかったが, IL-8や fMLPに比較して弱いものの好中球遊走因子として作用した。 4)ヒト由来マスト細胞株LAD2はA.bau菌体刺激でTNF-αを放出し,TNF-α, CCL4, IL-8のmRNAの発現増強もみられたが,その作用にはマスト細胞表面のFcγR II (CD32)の関与が示唆された。A.bau由来LPSもマスト細胞からのTNF-α, IL-8産生並びにその遺伝子発現増強を起し,炎症反応を惹起することが示唆された。 5)遺伝子検査技術の一つであるLAMP法を用いてMDRAの迅速検出法を開発した(論文投稿中)。
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