研究課題/領域番号 |
24591495
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
渡邊 浩 久留米大学, 医学部, 教授 (90295080)
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研究分担者 |
秦 亮 久留米大学, 医学部, 助教 (40461404)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | インフルエンザ菌 / BLNAR / 細胞内寄生 / バイオフィルム / 薬剤耐性 / 治療戦略 |
研究概要 |
本研究の目的は、本邦において、臨床的に問題となっているbeta-lactamase-negative ampicillin-resistant (BLNAR)株などの薬剤耐性菌を含めたインフルエンザ菌の難治化の要因を薬剤耐性、細胞内寄生およびバイオフィルムのそれぞれについて、どの程度難治化の要因となっているかを解析し、かつ治療戦略をたてることである。 2006 年 7 月から 2011 年 6 月までに、小児急性中耳炎患者74名(男児39, 女児35; 平均年齢1.35歳)より、74株のインフルエンザ菌が分離され、その内、37(50%)株はBLNARであった。バイオフィルム産生については、 OD600値の平均が 0.81 ± 0.77 (range: 0-3.5)であった。一方、46 (62.2%)株は細胞内寄生株と判明され 、平均細胞内侵入率は0.29 ± 0.82%であった。また、Ok-9, Ok-30, 及びOk-80株は繰り返し中耳炎が発症した患者(再燃患者)から分離されたBLNAR株であった。これらの菌株において、強いバイオフィルム産生能を示し、同時に高い細胞内侵入性を有することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究において、前述の小児急性中耳炎患者より分離されたインフルエンザ菌の集積を行い、難治症例や再燃症例などについての臨床データの解析も順調に進んでいる。また、薬剤感受性試験、細胞内寄生およびバイオフィルム産生能についても解明した。以上の成果から、当初の計画以上に進展しているという自己点検による評価とする。
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今後の研究の推進方策 |
今後、小児中耳炎難治例より分離され、細胞内寄生すること、及びバイオフィルム産生することが確認された菌株(Ok-9, Ok-30, Ok-80)を用いたin vitroでの人気道上皮細胞への感染実験を行い、Confocal laser scanning microscopy (CLSM) やfocused ion beam (FIB/SEM) システム(Quanta 3D FEG, FEI)で感染実態を観察する。また、in vitroで人気道上皮細胞へ感染させた後に、新たに小児中耳炎の治療薬剤として承認されたキノロン系抗生物質Tosufloxacinを含めた各種抗生物質を添加し、どのタイプの抗生物質をどのように投与すれば殺菌効果が高いかを培養検査で解析するとともに、FIB/SEMシステムを用いて、インフルエンザ菌側における形態変化などの比較検討を行う。以上の実験データを総合的に評価し、難治例と非難治例より得られた菌株間で、薬剤耐性、細胞内寄生およびバイオフィルム産生について比較検討し、難治化の要因の解析を行なった上で治療戦略をたてる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当金額は少ないため(689円)、次年度の予算と合わせて消耗品(培地)代として使用する予定としている。
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