研究課題/領域番号 |
24591498
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小林 朋子 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 助教 (50436119)
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研究分担者 |
松原 洋一 独立行政法人国立成育医療研究センター, 研究所, 研究所長 (00209602)
呉 繁夫 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10205221)
川目 裕 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 教授 (60246395)
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キーワード | 先天異常症候群 / 遺伝カウンセリング / 遺伝子解析方法 / ヌーナン症候群 / ヌーナン症候群関連疾患 / RAF1遺伝子 |
研究概要 |
分子生物学的観点と臨床的観点からヌーナン症候群の発症メカニズムを明らかにすることを目的として、本年度は以下の研究を施行した。 1.臨床症状からヌーナン症候群関連疾患が疑われる患者の検体を全国から収集した。収集した検体の遺伝子解析を施行した。現時点ではRAF1遺伝子に変異を認めるヌーナン症候群は18症例だった。 2.RAF1遺伝子変異陽性ヌーナン症候群の臨床症状の詳細な検討を実施するために、文献検索を施行した。その上で、主治医からの臨床情報収集を開始した。 3.遺伝子解析方法としてRAF1遺伝子直接シークエンス法に加えて、マイクロアレイ染色体検査法を導入した。対象検体の遺伝子解析中にマイクロアレイ染色体検査で他の先天異常症候群(Pallister-Killian症候群)であることが判明した症例を経験した。ヌーナン症候群を始めとする先天異常症候群の鑑別を施行する際にはマイクロアレイ染色体検査が有用であることを経験し、本研究対象疾患であるヌーナン症候群の検体を効率よく収集するためにも、マイクロアレイ染色体検査での他の先天異常症候群の除外が必要であることが明らかとなった。 4.ヌーナン症候群やヌーナン症候群関連疾患の遺伝子解析や自然歴収集を施行していく中で、遺伝カウンセリングの必要性が出現した。そのため、遺伝カウンセリング体制の構築に向けての準備を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、RAF1遺伝子変異陽性ヌーナン症候群の臨床症状を詳細に検討し、臨床的観点からヌーナン症候群の発症メカニズムを明らかにすることを中心的に施行した。RAF1遺伝子変異陽性ヌーナン症候群を集積するために、ヌーナン症候群が疑われる症例の検体を収集し遺伝子解析を施行したが、他の先天異常症候群であることが判明するなど、新たなRAF1遺伝子変異陽性患者を見出すことができなかった。そのため、臨床症状を検討する対象者が18症例と少ない状態での検討になっており、発症メカニズムを明らかにする程の結果が得られない可能性が出ている。
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今後の研究の推進方策 |
1.臨床症状からヌーナン症候群が疑われる患者の検体収集を継続する。 2.ヌーナン症候群もしくはヌーナン症候群関連疾患の原因遺伝子として同定された遺伝子解析を引き続き施行し、RAF1遺伝子変異陽性ヌーナン症候群患者を見つける。 3.RAF1遺伝子変異陽性ヌーナン症候群患者の詳細な臨床症状を検討し、発症メカニズムの解明につながる項目についてのデーターをまとめる。 4.ヌーナン症候群を始めとする先天異常症候群に対して、診断につながる効率良い遺伝子解析方法を確立する。 5.研究対象者に本研究に協力して頂くために必要な遺伝カウンセリング体制を構築する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の計画では、分子生物学的観点と臨床的観点からヌーナン症候群の発症メカニズムの一端を明らかにすることだったが、分子生物学的観点からの検討よりも臨床的観点からの検討に重点を置くことに変更した。そのため、遺伝カウンセリング体制の構築が必要となり、次年度以降にこれを実施するための経費として、平成26年度請求額とあわせて使用する予定である。 臨床的観点からヌーナン症候群の発症メカニズムの一端を明らかにすることとヌーナン症候群関連疾患の遺伝カウンセリング体制を構築することのために使用する予定である。
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