研究課題/領域番号 |
24591501
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
鴨田 知博 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (50224704)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ジペプチジルペプチダーゼ4 / 1型糖尿病 / 2型糖尿病 / アディポサイトカイン |
研究概要 |
【目的】小児1型糖尿病で血中dipeptidyl peptidase 4(DPP4)活性が変動するかどうか、またDPP4が血糖コントロールに影響を及ぼすかどうかを明らかにするために血中DPP4活性を測定し、血糖関連因子やインスリン感受性との相関を検討した。インスリン感受性の指標としてアディポネクチン(ApN)を選択し、その血中濃度を測定した。 【対象】前思春期の糖尿病児43例(平均9.3歳)および年齢を一致させた健常小児26例。 【方法】早朝空腹時の血中DPP4活性とApNをELISA法で測定し、2群間で比較した。糖尿病群でDPP4活性とHbA1c、血糖、BMI、Cペプチド、GAD抗体価との相関をそれぞれ検討した。 【結果】DPP4活性は糖尿病群が正常対照に比較して高値であった(3.57±0.99 vs. 2.67±0.77 U/ml、p < 0.001)。糖尿病群でDPP4活性とBMI、血糖、HbA1c、罹病期間、Cペプチド、GAD抗体価、インスリン投与量との間に関連は認められなかった。ApNは糖尿病群(11.6±5.04μg/ml)と正常対照(11.5±4.06μg/ml)との間に有意差はなかったが、糖尿病群でBMIとの間に有意な負の相関が認められた。DPP4活性とApNの間には有意な負の相関が糖尿病群および全症例で認められた。 【考察】1型糖尿病での血中ApNの意義について、インスリンクランプ法を用いた研究からインスリン感受性と正の相関があると報告された(Pereilaら、JCEM, 2012)。一方、1型糖尿病でDPP4活性上昇の報告もみられ、今回、DPP4 とApNとの間に負の相関が認められたことからDPP4活性がインスリン抵抗性を反映している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1型糖尿病において例数は十分とはいえないものの血中DPP4活性について測定することができ、正常対照と比較検討することができた。
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今後の研究の推進方策 |
小児1型糖尿病では、血中DPP4活性が高値であることが予想されたが、正常対照と有意差が認められなかった。発症早期のインスリン分泌能が保たれている症例とインスリン分泌が完全に枯渇した症例では血中DPP4活性に有意差が出る可能性もあり、さらに例数を増やして検討する必要がある。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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