• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

転写因子Sf1の卵巣における発現機構および機能の分子機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24591503
研究種目

基盤研究(C)

研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

鹿島田 健一  東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (80451938)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード性分化 / 卵巣発生
研究概要

卵巣においてSF1がどのような転写制御を受けるのか、またSF1が実際にどのような機能を果たすのか、についてはまだ不明な点が多い。以上を踏まえ、本研究ではまずSF1の卵巣における発現調節機構、特に性腺が卵巣に分化し始めたところからSf1の転写抑制が生ずるメカニズムを女性特異的因子であるWNT4, Foxl2, BMP2, FSTなどとの関連から明らかにするとともに、卵巣分化、機能維持におけるSF1の役割を成熟した卵巣特異的なノックアウトマウスを作成することでin vivoに解析し、Sf1の卵巣における発現調節、およびその機能を明らかにすることを目的とする現在in vitroのシステムで、胎生期のマウス卵巣においては、Sf1の発現抑制にFoxl2が関与していることを以下の如く証明した。
平成24年度はこのプロジェクトの初段階として、Sf1の卵巣での発現機構について、特にSf1がなんらかの卵巣特異的分子により抑制的に制御されている可能性について検討を行い、以下の結果を得た。
1:セルトリ細胞のモデル細胞であるTM3細胞を用い、卵巣決定因子であるFOXL2を強制導入したところ、WT1により転写活性化されたSf1の発現が抑制することをRT-PCR法を用いて示した。
2:すでにvivoでは性腺で機能することが証明されているSf1の600bpの性腺特異的プロモーターとLuciferase 遺伝子を結合させたレポーターベクターを作成、これを用いたレポーターアッセイを行い、RT-PCRの結果と同様にWT1による転写活性化をFOxl2が抑制することを証明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上記の如く研究開始1年目にて、vitroにおける系ではあるが、卵巣におけるSF1の発現機構の一端として、卵巣特異的因子であるFOXL2が抑制的に作用している可能性を証明できた。卵巣因子が多くある中で、このような形で最も有力な抑制因子を同定できたことは大変大きな研究の進展であると考えている。H25年度はこれをもとにさらに研究を展開し、その分子機構や、vivoにおけるFOXL2の作用について検討をしていきたいと考えている。

今後の研究の推進方策

上記の如くすでにレポータアッセイを用い、FOXL2によるSf1発現抑制が600bp上流プロモーターを介して起こることが証明された。
今後は、抑制の機構を詳細に検討する上で、この600bpプロモーターを基準に考えていく予定である。
一般に転写因子が他の転写因子による転写活性を抑制する機構としては、転写因子同士の結合による転写因子のDNA への結合の抑制、あるいは抑制転写因子がDNAに直接結合することによるもの、の2つが主なものとして挙げられる。今後はChIPアッセイを用いてFOXL2とWT1の直接的な結合の有無を検索するとともに、FOXL2がSf1 600bpプロモーターに結合するかどうか、またその結合がWT1の作用を抑制するかどうか、について検討することを考える。
またこれとは併行して、卵巣でのSF1の機能を評価していく上で卵巣特異的にSF1をノックアウトしたマウスに作成について、それぞれのCreマウス、Floxマウスの供与について、それぞれを保有する施設との交渉を行っており、今後具体的な形でマウスの解析を行っていく予定である。
本研究は、卵巣発生におけるSF1分子の制御機構のおよび機能について解明を果たそうとするものであり、性分化という領域において重要な知見をもたらすことが期待される。さらに新たなSF1制御分子の同定はその情報を基に新たなDSD、卵巣機能不全の発見につながる可能性があり、直接的な治療手段の開発にも繋がる可能性があると考えており、今後も常に臨床応用の可能性を考慮しつつ、本プロジェクトの発展を図る。

次年度の研究費の使用計画

主にはマウスの導入およびその飼育にかかる費用が主なものである。現実的には100万円程度の出費になると考えられる。また上記in vitroにおけるFOXL2の抑制機構の解明のため、ChIPアッセイなどを施行する予定であるが、それらのための抗体などの購入が20万円程度は必要になると考えられる。
また上記データがある程度まとまったところで数回の学会発表(含む海外学会 例 米国内分泌学会等)なども検討している。

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi