我々はこれまでにES細胞から骨格筋への分化誘導培養の基盤研究をすすめており、マウスES細胞及びiPS細胞から、実験的に質のよい骨格筋線維を産生し、マウス骨格筋に有効に生着する前駆細胞を抽出する系を確立してきた(Mizuno Y et al. FASEB J 2010)。この方法を応用させ、ヒトES細胞、iPS細胞から骨格筋細胞へ分化誘導する基盤技術の開発に取り組んできた。未分化ヒトES細胞およびiPS細胞を胚様体と呼ばれる細胞塊として富裕培養した後に、特定の条件下で培養すると7週から16週程度で成熟骨格筋マーカーであるミオシン重鎖II型を発現し、間葉系細胞の選択的分化誘導が可能となった。本研究で分化誘導された細胞集団は間葉系幹細胞マーカーを発現し、かつ骨格筋前駆細胞マーカーであるCD56も強発現している。従って、in vitroで骨格筋ミオシンとジストロフィンを発現する多核成熟筋管へと分化していることが判明した。本研究で分化誘導された筋原性間葉系細胞は生体内においても長期生着、ならびに骨格筋最性能を有しており、有用な骨格筋への分化誘導実験系の確立に成功した。これらの内容についてPLOS ONEに論文報告をした。
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