研究課題/領域番号 |
24591514
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
板倉 光夫 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 非常勤講師 (60134227)
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研究分担者 |
井上 寛 徳島大学, 学内共同利用施設等, 講師 (20294639)
山下 裕紀子 徳島大学, 学内共同利用施設等, その他 (40532502)
吉本 勝彦 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (90201863)
親泊 政一 徳島大学, 疾患プロテオゲノム研究センター, 教授 (90502534)
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キーワード | 低身長症 / 遺伝子変異 / グレリン受容体遺伝子 / GH放出ホルモン受容体遺伝子 |
研究概要 |
小児低身長症は、成人低身長症より遺伝要因がさらに大きいと推測されるが、これまでの多くの遺伝子研究では-4SD以下の重篤低身長症を対象としており、軽症から中等症の低身長症における遺伝子異常は、その発生頻度、遺伝形式、浸透度についてまだよくわかっていなかった。そこで申請者は日本全国の小児内分泌医と協力して日本小児低身長症127家系のゲノムDNAと不死化リンパ芽球株を収集してきた。本研究ではそのリソースを活用して、研究課題I「小児低身長症候補遺伝子のディープシークエンス解析」また研究課題II「日本人小児低身長症におけるSHOX遺伝子微小欠失の検討」を行った。その結果今年度は、保有している127家系由来の計304名のゲノムDNAの内、これまでにシークエンス解析が完了している12個の遺伝子に加えて、さらに下垂体GH産生および分泌、GHRシグナル関連、また骨・軟骨形成に関わる重要な分子をコードする10個の候補遺伝子を抽出し、追加解析をおこなった。その結果、GHRH受容体にこれまで知られていなかった新規の変異としてp.G136V(c.407G>T)とIVS2+3a>gを同定することができた。ルシフェラーゼレポーターを用いたプロモーター活性解析から新たに同定したp.G136V(c.407G>T)変異はGHRH刺激への転写誘導が欠落することを見いだした。一方、IVS2+3a>gを変異はGHRHRのスプライシング異常をおこすことを見いだした。この成果をGrowth Horm IGF Res. に論文発表することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請者は、日本人低身長症127家系由来の計304名のゲノムDNAから計12個の成長関連候補遺伝子のシークエンス解析を前年度までに終了し、本年度はさらにさらに下垂体GH産生および分泌、GHRシグナル関連、また骨・軟骨形成に関わる重要な分子をコードする10個の候補遺伝子を抽出し、追加解析をおこなった。その結果、GHRH受容体(GHRHR)にこれまで知られていなかった新規の変異を同定することができ、遺伝子変異を同定した患者において、小児科主治医と連携しながら臨床症状、特に身長を含めた身体的形質、併発症、GH分泌能やrhGH治療への反応性などの内分泌関連データなどについて、詳細な情報収集を行った。さらに培養細胞を用いた変異GHRHR遺伝子の機能解析からスプライシング異常からGHRH刺激への応答性が欠落する分子機構を見出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
SHOXはTurner症候群の低身長表現型に関与することが知られており、ヘテロ機能喪失型遺伝子変異(半量不全)ではLeri-Weill型軟骨骨異形成症また特発性低身長症(ISS)を発症し、またホモ機能喪失変異(完全不全)がLanger 型中肢骨短縮症を発症することが報告されている。しかしながら、日本人低身長症におけるSHOX遺伝子異常の正確な頻度はまだ報告されておらず、また疾患、人種により異なる遺伝子異常が検出されることが期待される。そこで次年度は申請者等が保有する日本人小児低身長症の127家系の発端者において、SHOX遺伝子エンハンサー領域の構造解析を行い、微小欠失の有無について検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
適切な人材が見つからなかった為、計上していた実験補助員の謝金費が余剰となった。 次年度への繰越額は研究試薬に使用する予定である。
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