研究課題/領域番号 |
24591516
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
佐伯 武頼 熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 教授 (10056070)
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研究分担者 |
牛飼 美晴 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, その他 (70232816)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | シトリン欠損症 |
研究概要 |
本研究の目的は、申請者らが病因遺伝子を見出し、疾患概念を打ち立て、モデルマウス(citrin/mGPD double-KOマウス)を作成・確立したシトリン欠損症について、モデルマウスを用い見出した治療有効物質の作用機構の解明と作用の比較検討を行い、(1)より効果的な治療法を確立、(2)発症機構を明確にし、(3)発症予防法を打ち立てることである。 ショ糖投与によって生じる肝内代謝変動をメタボローム解析で解明した代謝変動への、3群の治療物質(ピルビン酸ナトリウム、アミノ酸、中鎖トリグリセリド)の作用の違いを明らかにしてきた。発症誘因因子である、糖、グリセロール、およびエタノールいずれの摂取もモデルマウスは忌避すること、その忌避行動機構には細胞質NADH/NAD+比の上昇に基づくglycerol 3-phosphate (G3P)の上昇が関わる可能性を示唆してきた。今回その他の因子として、肝内ATPレベルへの影響、およびその特異性を4種のマウス(野生型、citrin-KO、mGPD-KO、およびcitrin/mGPD double-KO)を用い、検討している。その結果、忌避行動にはG3P上昇と肝内ATP低下の両者が相まった場合に忌避行動が起こる可能性が示唆された。 また、モデルマウスの解析から肝内G3Pレベルと連動して、尿中および血漿中のグリセロール濃度が変動する可能性を見出した。現在、各種物質投与による変動を解析し、対応した変動かどうかを見極め、新しい診断法となりうる可能性を検討している。 一方、citrin/mGPD double-KOマウスの中にも糖を他のマウスより多く飲用可能なマウスがいることに気づき、その数、および特性を検討中である。これらを通じて、シトリン欠損症の診断法、治療法、および発症予防法を確立する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験途上において、判断に苦しむデータが出され、その解明に時間を取られたが、最終的に、KOマウスにとっては麻酔薬量が病態に影響することが判明し、解決を見た。 一方、肝G3P濃度の上昇は尿および血漿グリセロール濃度に反映されるという結果を得ることが出来、新たな展開を迎えることが出来た。ショ糖を平均より多く飲用するdouble-KOマウスの数が現在までのところ多くなく、その解析は遅れている。全体を通しては順調な進展と考える。
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今後の研究の推進方策 |
血漿および尿中のグリセロールがdouble-KOマウスの病態を反映する可能性がでたため、この確認を進めている。また、これはヒトシトリン欠損症の新たな化学診断法の開発につながり、非常に重要と考え、平成25年度には、「血漿および尿中グリセロールの診断的価値」と「LC/MSを用いた体液中グリセロール濃度測定法の検討」を新課題として追求する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験動物飼育費 800,000円 試薬、キット購入 200,000円 人件費・謝金 400,000円 旅費 200,000円
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