研究課題
本研究の目的は、申請者らが病因遺伝子を見出し、疾患概念を打ち立て、モデルマウス(citrin/mGPD double-KOマウス)を作成・確立したシトリン欠損症について、モデルマウスを用い見出した治療有効物質の作用機構の解明と作用の比較検討を行い、(1)より効果的な治療法を確立、(2)発症機構を明確にし、(3)発症予防法を打ち立てることである。平成25年度までに、ショ糖投与によって生じる肝内代謝物質(解糖系中間体、TCAサイクル中間体、アミノ酸)変動への、3群の治療薬候補物質(ピルビン酸ナトリウム、アミノ酸、中鎖トリグリセリド)の作用の違いを明らかにしてきた。発症誘因因子である、糖、グリセロール、およびエタノールいずれの摂取もモデルマウスは忌避すること、その忌避行動機構には細胞質NAD還元レベルの上昇に基づくglycerol 3-phosphate (G3P)の上昇が関わる可能性を示唆してきた。その他の因子として、肝内ATPレベルへの影響、およびその特異性を4種のマウス(野生型、citrin-KO、mGPD-KO、およびcitrin/mGPD double-KO)を用い、検討している。その結果、忌避行動にはG3P上昇と肝内ATP低下の両者が相まった場合に忌避行動が起こる可能性が示唆された。現在、必要な対照実験を行っている。また、肝内G3Pの変動は血漿グリセロール濃度の変動として観察できることを明らかに、より容易に各種物質の効果を検定できるようになった。
2: おおむね順調に進展している
保有する飼育面積に限りがあり、モデルマウスであるCtrn/mGPD double-KOマウスの育種が一番のネックであるが、そのほかはまず順当に進んでいる。このほか、やはりショ糖を多く飲用するdouble-KOマウスの数は少なく、これについては十分な数が得られていない。
アミノ酸の効果については肝臓代謝レベルのみならず、ホルモン分泌レベルからの可能性が生じている。また、肝尿素サイクル酵素argininosuccinate synthetase活性およびたんぱく質量低下を起こした状態を見出した。、その実験系が構築できれば、酵素低下機構を解明し、重症化を防ぐ重要な予防方法を考案できる可能性が生じた
今年度の研究計画において、物品費を節約する事ができた為。物品費として使用する予定である。
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