研究課題/領域番号 |
24591517
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
秋吉 健介 大分大学, 医学部, 助教 (70305043)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | Down症候群 / Sonic Hedgehog pathway / Duodenal atresia |
研究概要 |
Down症候群(DS)では21番染色体上にコードされているアミロイドβ前駆蛋白が健常人に比し過剰に発現し、その分解産物アミロイドβ蛋白はSonic Hedgehog(SHH)経路を負に制御している。DSに十二指腸閉鎖が好発することはよく知られているが、その発症メカニズムは不明である。SHH経路は腸管の発生に重要な役割を有していることに着目し、DSの十二指腸閉鎖合併機序についてSHH経路関連因子を検討した。対象はDS21例(男:女=12:9、年齢0.2-29.3 歳(中央値8.6歳)、うち十二指腸閉鎖合併2例)と健常コントロール10例(男:女=4:6、年齢0.3-33.2 歳(中央値6.3歳))。血漿中のβアミロイド蛋白値をELISAにて測定した。リンパ球よりmRNAを抽出し、SHH経路の構成因子PTCH1やSMOなどの遺伝子発現量をリアルタイムPCR法にて定量した。血漿PTCH1蛋白についてはWestern blot法にて検討した。十二指腸閉鎖部を病理学的に免疫染色にて腸管内皮におけるPTCH1、GLI3の発現を検討した。アミロイドβ蛋白はDSではコントロールの1.67倍高値だった。DSのmRNAではPTCH1(p<0.05)、SMO(p<0.01)はコントロールに比してともに低発現だった。十二指腸狭窄部位ではPTCH1、GLI3が強発現していた。PTCH1 mRNA発現量とPTCH1蛋白量には相関性はなく、Aβ蛋白量とPTCH1蛋白量相関していた。 Down症候群では白血球のPTCH1 mRNAは低発現で、血漿PTCH1蛋白は高発現していた。これはmRNAの生成速度または、リンパ球での検討による検索部位の差異によるものと思われるが、PTCH1蛋白の高発現は従来の報告に相応しており、十二指腸閉鎖の一因であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
該当年度に十二指腸閉鎖症例が認められず、症例数は目標値に達していないが、予測されたデータが得ることに成功したと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
Down症候群モデルマウスでの検討を行う。 (対象)Down症候群モデルマウスTs65Dn 5例、健常マウス5例。生後週数を1週ずつずらし、年齢を一致させた5例を準備する。届いたマウスから直ちに末梢血管から血液を採取し、遠心分離にて白血球と血漿に分離する。また解剖により、十二指腸、大脳、小脳を摘出し、病理標本を作製する。 H24年度と同様の手法を用いて、モデルマウスにて、ELISAによる血漿βアミロイド測定、ELISAによる大脳βアミロイド測定、リアルタイムPCRによる白血球遺伝子発現量解析、ウェスタンブロットによる血漿PTCH1、GLI3タンパク質発現解析、免疫染色による病理学的検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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