研究課題/領域番号 |
24591517
|
研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
秋吉 健介 大分大学, 医学部, 助教 (70305043)
|
キーワード | Down症候群 / 十二指腸閉鎖 / ソニックヘッジホッグ経路 / アミロイドβ |
研究概要 |
[背景]Down症候群においては十二指腸閉鎖だけでなく、鎖肛、食道閉鎖など、合併しやすい消化管奇形は全て閉鎖/狭窄性病変である。なぜDown症候群が十二指腸閉鎖を合併しやすいのかという点について考察された報告はない。十二指腸は、発生2か月頃に内皮細胞の増殖により一旦閉鎖し、その後再開通する。十二指腸をはじめとする腸管の発生メカニズムにはSonic Hedgehogシグナル伝達経路が関与しており、構成遺伝子のノックアウトマウスは種々の消化管狭窄や低形成を生じるDown症候群が Alzheimer病に合併しやすい理由として、21番染色体上にあるアミロイドβ前駆タンパク遺伝子が過剰発現するためであることが明らかになっている。最近、アミロイドβ前駆タンパクがDown症候群モデルマウスにおいてSonic Hedgehog経路のPtch1を過剰発現させ、細胞分化・増殖を抑制することが示された。 [結果]ELISAで、血漿中のアミロイドβ蛋白1-40は、健常児でもDown症候群児でも、乳児期において最も高く、小児期にかけて減少し、成人期にはプラトー値であった。Down症候群児では健常児よりおよそ1.5倍高値であった(Table 1)。アミロイドβ蛋白1-42においても、Down症候群は健常人より高かった(P<0.05)。Aβ1-42においても、DS群はコントロール群より、有意に高かった(P<0.05)。リアルタイムPCRにて、Down症候群では、白血球内Sonic Hedgehog経路構成因子の遺伝子発現量が抑制されており、特にPTCH1(p<0.05)とSMO(p<0.01)に関しては、有意に発現量が低いという結果が得られました。PTCH1とAβ蛋白の間に相関は認められなかった。 PTCH1と年齢の間に有意な相関はなかったが、 Aβ蛋白と同様に、年齢に伴い発現が低くなる傾向があった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ELISAで、血漿中のアミロイドβ蛋白1-40は、健常児でもDown症候群児でも、乳児期において最も高く、小児期にかけて減少し、成人期にはプラトー値であった。Down症候群児では健常児よりおよそ1.5倍高値であった(Table 1)。アミロイドβ蛋白1-42においても、Down症候群は健常人より高かった(P<0.05)。Aβ1-42においても、DS群はコントロール群より、有意に高かった(P<0.05)。リアルタイムPCRにて、Down症候群では、白血球内Sonic Hedgehog経路構成因子の遺伝子発現量が抑制されており、特にPTCH1(p<0.05)とSMO(p<0.01)に関しては、有意に発現量が低いという結果が得られました。PTCH1とAβ蛋白の間に相関は認められなかった。 PTCH1と年齢の間に有意な相関はなかったが、 Aβ蛋白と同様に、年齢に伴い発現が低くなる傾向があった。 今年度中に免疫染色の確認、ウェスタンブロットを行う予定
|
今後の研究の推進方策 |
Down症候群の剖検例が得られれば、中枢神経系、消化管におけるソニックヘッジホッグ経路の構成因子について、遺伝子発現、タンパク質発現について検討する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
計画的に予算を使用していたが、少額の次年度使用額が発生した。 ウェスタンブロットに必要な抗体の購入を予定している。
|