研究課題/領域番号 |
24591520
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
水野 晴夫 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70363942)
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研究分担者 |
齋藤 伸治 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00281824)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 性腺 / 思春期 |
研究概要 |
当初の予定通り、今回の研究対象である日本人平均思春期発来年齢(男児11歳6ヵ月、女児9歳9ヵ月)より2年以上前後している児の集積を続けている、当院のヒト遺伝子倫理委員会の承認を得ることができたため、文書による同意を取得中である。とりわけ、二世代以上にわたって濃厚な思春期早発症、遅発症の家族歴をもつ家系も徐々に集積してきている。また、本研究では、解析対象となる遺伝子のリストの作成が本研究では、重要な位置を占める。この作成については、ごく最近にも、思春期発来に関係する可能性のある遺伝子が複数解明されてきているため、最新の文献を調べながら、リストの作成を慎重に、時間を割いている。リストの作成を待って、複数の患者について網羅的遺伝子解析を行い、思春期発来に関与する遺伝子の解析を行いたいと考えている。平成24年度については、まず、すでに当院で集積している「ゴナドトロピン単独欠損症男児における精巣機能の検討」(平成24年4月、日本内分泌学会、名古屋)について、また、「両側非触知精巣の診断過程におけるhCG負荷試験の重要性」(平成24年9月、日本小児内分泌学会、大阪)と性腺発育のメカニズムに関連した2演題の臨床的な発表を行った。これらは、思春期発来の網羅的遺伝子解析につながりうる内容ではあるが、症例の集積が先行しており、解析対象となる遺伝子のリストの作成が遅れていることから、本研究の最終目標に向けて、まずは、症例の臨床像について発表を行ったものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では、平成24年度に「二次性徴発来に関連しうる網羅的遺伝子解析システム」を作り上げ、すでに集積した患者から文書よる同意をいただいた後、次世代シークエンスを用いて思春期発来に関連する網羅的な遺伝子解析を行う予定であったが、解析する価値のある濃厚な早発・遅発の家系が集積できたこと、思春期発来に関係する可能性のある遺伝子が複数解明されてきているため、最新の文献を調べながら、リストの作成に慎重になり、時間を割いていることから、次世代シークエンスによる網羅的解析までには至っていない。ただし、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症の代表的疾患であるKallmann症候群の臨床像の解析や、conventionalな方法を用いての塩基配列決定などは試みており、着実に研究は進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
症例の集積はほぼ終了しており、また、解析対象遺伝子のリストの作成も完全ではないものの、ほぼ完成している。今後は、当初の予定通り、100名以上に及ぶ対象患者を次世代シークエンサーにより、網羅的に解析を行い、思春期発来に関連した遺伝子の検索を進めていく予定である。また、濃厚な早発・遅発の家族歴を有する患者の全エクソンシークエンスの同意も得ており、共通の遺伝子変異を同定し、新規の二次性徴発来に関与する遺伝子を同定したいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、患者の集積と候補遺伝子リストの集積に終始した。国内の学会では、ゴナドトロピン分泌低下症の児の長期的な臨床像の報告に留め、研究費を予定通りには使用しなかったが、平成25年度は、すでに文書で同意を得ている思春期発来異常の患者様の解析を行うために、次世代シークエンスを用いた網羅的解析に研究費を使用する予定である。
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