研究課題
小児神経伝達物質病は、シナップスでの神経伝達物質の異常によって起こる遺伝性疾患群である。当教室が中心として行ってきた全国疫学調査により、臨床症状および臨床検査所見が明らかとなってきた。従来の血液検査、髄液検査等では、神経症状の病態を説明できない症例も存在している。また、個々に希少疾患であるため、体系的な治療法の開発手段は存在しない。今回、小児神経伝達物質病患者由来iPS細胞を樹立し、神経系細胞へ分化することで、細胞レベルでの病態の解明を目指す。今年度は、iPS細胞からの神経分化誘導を行い、細胞レベルでの機能解析、増殖能、神経突起をリアルタイムで解析し病態を解明する系を確立できた。
2: おおむね順調に進展している
iPS細胞からの効率的な神経への分化法を確立でき、機能解析する手法も改善してきている。病態解明、新規治療法を評価できる基盤が整いつつあると評価できる。全国から、希少な難治性疾患の検体の提供を受け、順次iPS細胞を作成しており、神経伝達物質病に関連する病態研究の展開が期待できる。
患者iPS細胞由来の神経細胞における機能解析を推進していく。また、新規化合物をテストできるプラットフォームの確立を目指していく。ゲノム編集技術を取り入れ、より精度の高い機能解析を目指す。
学内の実験施設を利用して安価に解析できるようになったため、未使用額が発生した。しかし新たな問題として、対照となるiPS細胞の調整に、遺伝子改変などの技術の導入が必要となりその準備に時間を要した。
より信頼性の高い解析を目指して、遺伝子改変などの技術への試薬および成果発表のための費用に用いる。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)
Lab Invest.
巻: 95 ページ: 4-13
10.1038/labinvest.2014.104
Springerplus
巻: 3 ページ: 527-527
10.1186/2193-1801-3-527
J Nucl Med
巻: 55 ページ: 845-851
10.2967/jnumed.113.131797
Hum Gene Ther Methods.
巻: 25 ページ: 72-82
10.1089/hgtb.2013.011.
J Pediatr
巻: 165 ページ: 1241-1244
10.1016/j.jpeds.2014.08.003.