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2013 年度 実施状況報告書

グルタメイト脱水素酵素異常症モデルマウスによる病態解明と治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 24591522
研究機関兵庫医科大学

研究代表者

岡野 善行  兵庫医科大学, 医学部, 非常勤講師 (60231213)

キーワードグルタミン酸脱水素酵素 / 高アンモニア血症 / 高インスリン血症 / 動物モデル
研究概要

高インスリン高アンモニア血症はGlutamate Dehydrogenase (GDH)のGTPの抑制制御が失われるため、GDH活性の上昇をきたし、肝細胞で高アンモニア血症を膵β細胞で高インスリン血症をもたらす。高アンモニア血症の原因としてはglutamateの減少に伴うN-acetylglutamateの産生障害、カルバミルリン酸合成酵素の活性化障害が原因であるとされているが、その発症機序は必ずしも明らかではない。高アンモニア血症の発症機構の解明と治療法の開発のために、ヒト高インスリン高アンモニア血症で発見された遺伝子変異であるL413V GDHcDNAをユニバーサルに発現するトランスジェニックマウスを作成した。ヘテロのトランスジェニックマウスでは、GDH活性の上昇とglutamateからα-oxoglutarateへの産生増加が認められていた。メタボローム解析では肝臓での糖質代謝の変化が大きく、TCAサイクルでのα-oxoglutarateまでの代謝産物の抑制とその後のTCAサイクルの産生物質の増加が認められた。すべての臓器でケトン体の増加が認められ脂肪酸代謝の亢進が推定された。肝臓での尿素サイクルに関与するアミノ酸は全般的に低下し、中でもN-acetylglutamateの増加は認めなかった。ATP/ADPは肝臓で上昇し、他の臓器では認められなかった。酸化ストレスに関与するGSHが脳では低下していた。
ヘテロマウスではヒトのような著明な症状を示さないため、GDH異常のホモマウスの作製を必要としている。ホモマウスのスクリーニング方法の確立を急いでいる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ホモマウスの作成と検証が遅れている。ヘテロマウスのスクリーニングでは組み込み、導入したL413V GDHcDNAの一部分をPCR法で定性的に判定することが可能であった。ホモマウスでのスクリーニングでは定量性が求められ、その解析法が確立できていないために遅れている。現在、ヘテロマウス家系解析を利用して、ホモマウスの確立を行う。

今後の研究の推進方策

GDH異常遺伝子のホモマウスを作製し、GDH活性の上昇とglutamateからα-oxoglutarateへの産生増加を確認する。ヒトGDH異常症の特徴的な症状である高インスリン血症による低血糖、高アンモニア血症について、ヘテロマウス、ホモマウスで検討を行う。高アンモニア血症の発症と各臓器の相互作用と影響について検討する。すなわち、アンモニア代謝の生体内の生理的なネットワークシステムを考慮し、GDH遺伝子異常の影響をメタボローム解析、カルニチン解析で検討する。肝臓ではN-acetylglutamateの合成低下、カルバミルリン酸合成酵素および尿素サイクル各酵素活性への影響、各代謝バランス、ATP/ADPエネルギー産生を検討する。同時に腎臓、筋肉など他の臓器でもメタボローム解析を行い、腎臓、筋肉などの臓器の役割とその影響を明らかにし、アンモニア代謝の役割を明らかにする。また、ヘテロ、ホモマウスの両者の比較を行うことによって、遺伝的重症度と臨床的重症度の比較を行う。
主要症状の一つである低血糖症―高インスリン血症―に対する治療はKATPチャネルへの作用薬であるジアゾキサイドが有効で、良好な血糖コントロールを可能としている。しかしながら、高アンモニア血症に対してはcarbamylglutamate、安息香酸ナトリウムをはじめ有効な薬剤がなく、その治療にはGDH活性そのものを抑制することが必要である。epigallocatechin gallate、aurintricarboxylic acidの高アンモニア血症に対する治療効果を検討する。SIRT4のGDH活性抑制作用と高アンモニア血症との関わりを確認する。13C-glutamineの呼気テストを行い、in vivoのglutamineからの酸化能力をマウスの呼気中13CO2で明らかにする。この測定方法の有効性について検討する。

次年度の研究費の使用計画

1,049円と少額であったため。
薬剤分注のためのマイクロピペットチップの購入に充てる

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)

  • [雑誌論文] Role of per-rectal portal scintigraphy in long-term follow-up of congenital portosystemic shunt.2014

    • 著者名/発表者名
      Cho Y, Tokuhara D, Shimono T, Yamamoto A, Higashiyama S, Kotani K, Kawabe J, Okano Y, Shiomi S, Shintaku H
    • 雑誌名

      Pediatr Res.

      巻: 75 ページ: 658-662

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Changes of lipoproteins in phenylalanine hydroxylase-deficient children during the first year of life.2014

    • 著者名/発表者名
      Nagasaka H, Tsukahara H, Okano Y, Hirano KI, Sakurai T, Hui SP, Ohura T, Usui H, Yorifuji T, Hirayama S, Ohtake A, Miida T.
    • 雑誌名

      Clin Chim Acta

      巻: 433C ページ: 1-4

    • DOI

      10.1016/j.cca.2014.02.020.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Optimal serum phenylalanine for adult patients with phenylketonuria.2013

    • 著者名/発表者名
      Okano Y, Nagasaka H.
    • 雑誌名

      Mol Genet Metab

      巻: 110 ページ: 424-430

    • DOI

      10.1016/j.ymgme.2013.09.007.

    • 査読あり

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公開日: 2015-05-28  

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