研究課題/領域番号 |
24591523
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
新宅 治夫 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00206319)
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研究分担者 |
塩見 進 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30170848)
濱崎 考史 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40619798)
藤岡 弘季 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員研究員 (70382083)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | メンケス病 / ATP7A / ジスルフィラム / microPET / 銅 / 発達遅延 / キレート剤 / dペニシラミン |
研究実績の概要 |
メンケス病は銅の転送酵素ATP7Aの異常が原因で重篤な銅欠乏となり、けいれん、精神運動発達遅滞などの神経学的障害を起こす予後不良な疾患である。銅の補充療法が行われているが、中枢神経障害に対する効果が少なく、また投与した銅の腎臓での蓄積による障害が問題になっている。メンケス病モデルマウス(マクラマウス)で、銅のキレート剤の投与により脳の銅濃度が上昇することが報告されている。我々は、このキレート剤としてジスルフィラムの脳に対する効果とdペニシラミンの腎臓に対する効果を検証するために、64Cuを用いたmicro positron emission tomography(マイクロペット)で、外部から投与した銅が実際に脳に移行し腎臓で排泄されているかを画像解析により証明し、中枢神経と腎臓に対する治療効果を明らかにした。平成26年度は平成24~25年度の基礎的研究の結果を基に臨床応用の効果について、メンケス病患児のジスルフィラムの治療効果について臨床的に検討した。患児の治療としてヒスチジン銅の皮下注射を行っているが、ジスルフィラム併用療法では銅の血中濃度を維持するために必要なヒスチジン銅の投与量と投与間隔に改善が認められた。神経学的には周囲に対する反応や上下肢の運動機能に軽度の改善が認められた。PET装置を用いて64Cuの取り込みを銅代謝の変動を通して経時的に観察し、機能低下と改善をヒトにおいて定量的に証明するため、64Cu化合物の作成ができ次第倫理委員会の申請を行い、ヒトにおける臨床効果をPETで確認する準備がととのった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
PETの核種はサイクロトロンを使用して作成するが、患者の治療に用いるヒスチジン銅から銅の核種の作成が難しく他の化合物に変更の可能性を検討している。
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今後の研究の推進方策 |
PETに用いる銅核種の作成に成功すれば、ヒト臨床研究の倫理審査を受け、健常人で行い安全性が確認されれば患児で効果判定を行う。また、現在銅の投与は皮下注射で行っているが、これを経口投与でもジスルフィラムの併用療法を行えば同様の効果を期待できるかについて検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究成果を国際学会で発表予定であったが、学会開催地がエボラ出血熱の発生により中止となったため、次年度の国際学会で発表するため、旅費の次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
2015年の国際学会で発表予定である。
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