患者由来Bリンパ芽球とマウス線維芽細胞を用いた融合細胞の作成を10回程度,標準的な方法で試みたが作成ができなかった.したがってこの方法では派生染色体の単離ができなかった.次いで,FISHによる切断点の決定を試みたが,X染色体,15番染色体の切断点の近傍ともに反復配列が多く,切断点の決定には至らず,近傍100kb程度の特定にとどまった. 次に,15番染色体のモノソミー領域と思われる部位の多型を用いた由来解析に挑戦した.DBを詳細に調べたが該当領域にはSTRマーカーは1つも存在しないと判明した.やむなくSNPS解析を行いおおよそ150のSNPSを調べたが,有意な情報が得られず,派生染色体の親由来の決定に至っていない. 推測になるが,X,15番染色体ともに反復配列の多い領域での転座であったので,反復配列自体が転座の誘発因子であったと思う.また反復配列が多いことから,PCR法,やFISH法の難渋の原因となり派生染色体の親由来の同定に至らなかった.融合細胞作成の困難であったことや,多型マーカーをデータベースで探すこと,また,シーケンスに思いの外時間をとられ期間内に最終的な物理的な染色体の単離,マイクロダイセクションによる派生染色体単離に至ることができなかった.
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