中枢神経病変を伴うリソゾーム病では、血液脳関門(BBB)の存在が大きな障害となり有効な治療法がない。本研究では非侵襲的で安全な中枢神経病変の治療法の開発を目的とし、脳全体の広範な神経変性を伴う異染性白質ジストロフィー(MLD)を対象として、BBBの幼弱な新生児期の治療法を検討した。MLDの治療蛋白であるASA発現9型アデノ随伴ウイルスベクターを新生児期の静脈内投与にて治療効果を検討した結果、脳全体の遺伝子導入に成功し、蓄積物質であるスルファチドの減少ならびに行動実験においても有意に改善を認めた。9型アデノ随伴ウイルスベクターの新生児期の静脈内投与は中枢神経病変の治療法に有用であると考えられた。
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