研究課題/領域番号 |
24591533
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
岩田 幸子 久留米大学, 医学部, 助教 (40465711)
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研究分担者 |
岩田 欧介 久留米大学, 医学部, 助教 (30465710)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 新生児 / 睡眠 / Actigraphy / 認知障害 / 睡眠障害 |
研究概要 |
本研究では,日常環境の中使用可能な簡易睡眠定量機器Actigraphyを新生児に応用し,内分泌的マーカーの日内変動トレースと併せて,ヒト新生児が誕生から昼夜リズムを獲得するまでの過程を明らかにすることを最大の目的としている.研究所年度には,本研究の前提として,新生児集中治療病棟に入院し,状態が安定した低リスク新生児22名において,ビデオ睡眠ポリソムノグラムとActigraphyの同時記録を行い,Actigraphyから得られる活動性指標が新生児の睡眠リズムをどの程度反映するかを検証した.この結果,成人や小児で確立されたActigraphyによる睡眠判定アルゴリズムによって新生児の睡眠覚醒を判定することは不可能であったが,活動量情報を時系列データとして取り出し,閾値を最適化することで,活動性の高い覚醒,および,体動のない睡眠(成人のnon-REM睡眠に相当)を正確に判定することができた.これらのパイロット研究の成果を基に,現在出生直後の新生児におけるActigraphy長期(7日間以上)連続記録のための症例をリクルート中である(現在までに28症例が検査終了).この際,睡眠パターンに関係し,末梢性サーカディアンクロックの指標として確立されている,非侵襲的検体を用いたコルチゾールおよびメラトニン測定も併用しており,より詳細な睡眠パターンの同定が期待できる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
actigraphyによる活動量指標が意味する睡眠・覚醒ステージを明らかにするために,これまで22名の低リスク新生児を対象に,睡眠判定のゴールドスタンダードであるPSGをVTRと共に同時記録を行った.標準化されているActigraphy睡眠判定ソフトウェアを用い,プログラムされている種々の体動cut-off値と,睡眠感度および特異度の関係を検討中である. また,出生後から日齢5まで,連続的にActigraphyを装着する一方,3時間毎にコルチゾールおよびメラトニン測定を行い,睡眠パターンの同定を試みるphase1では,これまで正期産児,早産児それぞれ約14名ずつ程取り終えている.
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今後の研究の推進方策 |
退院後1か月および3か月の時点で,Actigraphy・睡眠日誌・質問紙の調査を行う予定であるが(phase2),これまで,外来フォロー体制が整っておらず(乳児を抱える家族の負担を考慮する一方,高額医療器具を郵送でやり取りする際のリスクを減らす為,周到な準備を要した),これから,対象児の選定に入る所である.なお,phase3の修正18か月における短期予後(対面式発達評価)に関しては,すでに外来体制が整備されており,実施に際しての障害はないものと考えられる.また,睡眠の各段階がどのようにクラスターを形成し,夜間に集中して行くのかをより多面的に観察するために,近赤外線スペクトロスコピーを導入し,睡眠・覚醒周期と脳酸素代謝の変動を観察する予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
Actigraphyの解析に専用ソフトウェアおよびコンピューターが必要である. 外来フォローについて,対象児のみならず,家族(母親)の睡眠状況を調べるため,Actigraphy貸出を2個ずつとする.当初予定より倍のペースとなった事に加え,Actigraphy返却の遅れ,紛失などに対応する為,Actigraphy追加購入予定である.また,本研究同様に生体リズムの起源解明を目指す文部科学省新学術領域研究と共同で近赤外線スペクトロスコピーを購入し,脳活動の短周期(アルトラディアンリズム)から長周期(サーカディアンリズム)の変動の相互作用を明らかにする.
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