糖原病III型(glycogen storage disease type III: GSDIII)は、グリコーゲン脱分枝酵素(glycogen debranching enzyme: GDE)活性が欠損することによって発症する常染色体劣性遺伝病である。GDEをコードする遺伝子がAGLである。 平成26年度に得られた結果は以下の通りである。 1.従来の遺伝子解析方法ではAGL遺伝子に異常が検出できなかったGSDIII患者を対象に、ゲノムワイドな網羅的遺伝子変異検索を行い、AGL遺伝子の中で蛋白をコードしているエクソン部分に一塩基欠失を同定した。この変異がそれぞれの家系内で受け継がれていることをサンガーシークエンス法にて確認した。以上の結果を論文としてまとめて英文雑誌に発表した。 2.トルコ人GSDIII患者12例の遺伝子変異解析を行い、全員の遺伝子変異を同定した。遺伝子変異は12種類あり、そのうち7種類はこれまで報告のない新奇なAGL変異であった。臨床症状と遺伝子解析結果をまとめて英文雑誌に発表した。 本研究期間全体を通じて実施した研究成果により、グリコーゲン分解系異常を惹起してGSDIIIを発症するメカニズムの解明には、AGLのre-sequencing、exon copy number assay、RT-PCRを用いたmRNAの解析、そしてゲノムワイドな網羅的遺伝子変異検索が有効であることが示された。
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