研究課題
研究協力施設から引き続き、骨髄、末梢血検体を送付いただき、先天性好中球減少症と診断されたG-CSF (CSF3)受容体切断型遺伝子異常の出現の有無の経時的解析を行っている。これまでに特定したCSF3受容体膜貫通部直上のヘテロの遺伝子変異(c.1947C>T:Ala569Val)以外には新たな変異はみつかっていない。この変異はその後の検索で切断型異常と同様に後天的変異である事を確認したが、その後の経過中一過性で消失した。このようなゲノム不安定性ともいうべき兆候は白血病化への多段階の変化を考えて行く上で非常に興味深く、この患者さんの今後の継続的な解析をおこなっているが、今の所新たな変異や臨床的症状の変化は観察されていない。また他の検査を継続している症例では現時点で骨髄異形成や白血病への変化はみられていない。G-CSF受容体刺激伝達系関連蛋白のSHP2、Gab1、Gab2、Grb2、SOCS3、STAT3、STAT5、NRAS、KRAS2について、それぞれに解析条件を整え、得られる臨床検体においてmRNAの配列決定を一部行っているが、これも今までの検体では特別な変化は検出できていない。また、検索を進める中、HAX1変異を有する先天性好中球減少症女児例を見いだした。従来HAX1遺伝子変異に合併する神経障害は先天性とされているが、興味あることにこの例において、神経障害は当初無かった。しかし、5歳時の急性脳症発症を契機に退行を認め神経発達障害が顕在化した。神経障害進行の機序を考える上で興味深い症例である。
4: 遅れている
研究開始当初に分担者であった一人が病気により研究継続が不能となり、実務を担う研究者が減った。加えて、平成25年度の所属講座教授退官に伴い、代表者自身が科長に就任、その後、教授選考、平成26年11月の教授就任とこの1年にわたって、他の実務が増加、本研究に十分な時間をかけることが不能であった。また、希少疾患である重症型の先天性好中球減少症の新たな症例リクルートが十分には進んでいないのも要因である。
患者リクルートと検体の獲得、骨髄異形成/白血病化に至る前後の検体を得た上で、これまでの主要候補遺伝子mRNAの配列決定に加え、臨床検体の病態変化前後における次世代シークエンサーを用いた網羅的遺伝子解析を行なう。また、前方視的に変異を追う中で、結果を得る為には患者さんの病態が進まなければ結果を得ることができない。これまで行ってきたやり方では、当たりをつけた遺伝子の解析のみしかできない点を考えると、既に白血病化した検体をリクルートし、その腫瘍細胞と患者さん粘膜細胞由来等の別臓器細胞のゲノムを次世代シークエンスにより、網羅的遺伝子解析をすることで、両者間の変化から白血病化に鍵となる遺伝子の変化を解析したいと考えている。
研究開始当初に分担者であった一人が病気により研究継続が不能となり、実務を担う研究者が減った。加えて、平成25年度の講座教授退官に伴い、代表者自身が科長に就任、その後、教授選考、平成26年11月の教授就任とこの1年にわたって、他の実務が増加、本研究に十分な時間をかけることが不能であった。また、希少疾患である重症型の先天性好中球減少症の新たな症例リクルートが十分には進んでいないのも要因である。
患者リクルートと検体の獲得、骨髄異形成/白血病化に至る前後の検体を得た上で、これまでの主要候補遺伝子mRNAの配列決定に加え、臨床検体の病態変化前後における次世代シークエンサーを用いた網羅的遺伝子解析を行なう。この為の通信、検体配送費、検査薬等の消耗品費。また、候補遺伝子が見つかった場合、実験動物への遺伝子導入とその維持費、および解析に伴う費用。
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