研究課題
引き続き先天性好中球減少症例のG-CSF (CSF3)受容体切断型遺伝子異常出現の前方視的解析を行っているが、昨年同様、継続症例にCSF3Rの遺伝子変異は観られていない。G-CSF受容体刺激伝達系関連蛋白についても一部遺伝子解析を行っているが、特別な変化は検出できていない。この様に患者さんに現時点で新たな変異は検出されず、骨髄異形成症候群や白血病への進展のような臨床症状の変化も無いままである。解析症例のうちHAX1変異を有する女児は、HAX1遺伝子変異に合併する先天性の神経障害は観られず、5歳時の急性脳症発症を契機に退行を認め神経発達障害が顕在化した。従来神経障害は先天性とされており、HAX1の神経異常の機序を考える上で興味深い。我々の症例と同様HAX1変異を持っているものの神経症状の無い症例が、2016年報告された(Asian Pac J Allergy Immunol 2016;34:73-6)。神経障害発症との関連性についてその機序を考えるに重要な知見である。症例を前方視的に解析する進め方は、追跡症例のリクルート数に限界があること、また追跡症例が白血病化前に造血細胞移植を施行され、解析症例から外れる場合が多いことから方法自体に限界がある。このため、2015年度は既に白血病化した骨髄機能不全患者さんで、生存中であり血液細胞以外の体細胞由来ゲノムを得られる患者さんについて、各々のゲノムをexome解析で比較検討することで白血病化に関与する遺伝子変化を検出することとした。現在それぞれのexomeデータを抽出したところである。最終的に解析に進めた症例は、少数だが、bioinformatics解析を行ない何とか白血病化に関連する遺伝子を抽出し、その生物学的意義を解明していきたい。
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Pediatiric Transplant
巻: 20 ページ: 271-5
doi: 10.1111/petr.12626.