研究課題
同種造血幹細胞移植後の患者血液解析で、GVHDでは炎症反応および酸化ストレスの進行に伴い、赤血球連銭形成の亢進、band3の減少、PRDX2のダイマー化、PRDX2の断片化が径時的に認められた。連銭形成の要因は赤血球ではなく、血漿成分に起因していた。ネフローゼ症候群、慢性活動性EBV感染症や移植患者以外の敗血症では赤血球連銭形成亢進以外は認められないことから、移植後のGVHDでは慢性的に強い炎症・酸化ストレスが起こっていることが考えられた。全血をもちいた凝固過程の検討で、凝固開始前に赤血球連銭形成が認められることが観察され、炎症反応と凝固反応の相互作用が推測された。マウス慢性GVHDの系でトロンボモジュリンの影響を検討した。高用量投与では生存率は低下し、悪影響が認められた。投与時期の検討では、移植日から投与した場合、有意差は認められなかったが、3週目から投与した系では中等量群で有意に皮膚の慢性GVHDの改善が認められた。ヒトの移植例ではトロンボモジュリン投与群で有意に移植関連合併症死の低下が認められた。その効果は、凝固異常の改善に依存しており、sIL2R,ferritinなどの炎症反応マーカーの改善効果との相関は認められなかった。移植早期のGVHDについては複雑な炎症過程が関与していると考えられ、またその後も特異な炎症・酸化ストレス過程の持続していることが本研究で示された。移植患者の治療・対応を考えるうえで貴重な知見と考えられる。
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