研究課題/領域番号 |
24591546
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
岩本 彰太郎 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (20456734)
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研究分担者 |
平山 雅浩 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90293795)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | N-カドヘリン / 白血病微小環境 / 急性白血病 |
研究概要 |
私どもは、小児白血病治療成績の更なる向上をめざし、白血病微小環境に注目した研究を行っている。特に、骨髄ストローマ細胞及び脳組織に高発現する接着分子(N-カドヘリン)を標的分子とし、白血病細胞との細胞間接着の臨床的意義を見出すことを目的としている。以下に当該年度の研究成果を述べる。 1) 急性白血病細胞株及びヒト骨髄由来ストローマ細胞株におけるN-カドヘリンの発現:フローサイト・メトリ法にて同分子発現を確認した。急性白血病株の中で、急性リンパ性白血病株2種類で同抗原の発現を認めたが、急性骨髄性白血病株3種類で発現しているものはなかった。また、ヒト骨髄由来ストローマ細胞株にて同抗原の高発現を認めた。2)急性骨髄性白血病初発時検体におけるN-カドヘリンの発現:急性骨髄性白血病細胞株で同抗原の発現を認めるものがなかったため、急性骨髄性白血病初発時検体での同発現の検討を行ったところ、検体の中には、その芽球細胞の一部に同抗原の発現を認めた。更なる詳細な検討が必要と考える。3)N-カドヘリン発現の遺伝子改変細胞株の樹立:N-カドヘリンを高発現するヒト骨髄由来ストローマ細胞株及び急性リンパ性白血病株を用い、レトロウイルスベクターによる遺伝子改変術により、同分子の発現を恒常的に抑制した細胞株を樹立した。この発現を効率よく抑制する配列を組み込んだベクター作成に時間を要し、現在それらの細胞株のキャラクター解析を実施していている。4)N-カドヘリン接着の細胞形態に及ぼす検討:N-カドヘリンを発現する急性リンパ性白血病株の培養において、同分子の細胞外領域に結合する中和抗体を添加したところ、投与前細胞接着にて一塊の細胞増殖を示してたものが、接着せずsingle cellとして浮遊増殖した。現在、細胞周期・表面マーカーの検索を施行中である。 以上の進行状況であるが、今後機能解析へとつなげる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究成果概要にも記したが、N-カドヘリンを高発現するヒト骨髄由来ストローマ細胞株及び急性リンパ性白血病株における同分子の発現を恒常的に抑制する遺伝子改変レトロウイルスベクターを作成するのに時間を要してしまった。 効率よく標的分子を抑制するRNAi配列選択は、本研究において重要なポイントであり、慎重な判断を必要とした。また、ベクターに組み込み、感染効率のよいウイルス上清を獲得するにも時間を要したことが原因である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、樹立した遺伝子改変細胞株を主に利用し、N-カドヘリン分子の細胞接着が細胞形態・増殖・薬剤感受性に及ぼす影響を、Cell adhesion assay, MIgration assay, Cytotoxicity assayにて検討する。 また、急性骨髄性白血病初診時検体でのN-カドヘリン発現分画の検討として、マルチカラーフローサイトメトリーで他の抗原との関係を検討する。 これらは、白血病微小環境における薬剤耐性の新たなる視点での研究であり、得られるデータへの期待は大きい。
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次年度の研究費の使用計画 |
申請時より、次年度の研究を推進するために、直接研究経費として1,400,000円、間接経費として420,000円を計上してきた。遺伝子改変細胞株を用い、当初の研究計画に加え、マルチカラー解析抗体を購入して、詳細な検討を行っていく予定である。 よって、その直接経費は主に物品に使用する。
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