研究課題/領域番号 |
24591549
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
平松 英文 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40362503)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 造血幹細胞 |
研究概要 |
本研究はmiR-126 sensing lentivirusを用いてmiR-126の発現を指標とした新たな造血幹細胞分画の同定を目的としているが、今年度は高力価ウイルス粒子の作成にむけた準備とP2実験室内での実験系の立ち上げを行った。このレンチウイルスシステムを独占的に使用している開発元のLuigi Naldini LabよりMTAを交わし必要な各種プラスミドを入手した。感染性ウイルス粒子の産生にはmiR-126 sensing partを持つバックボーンプラスミドの他、Rev, Rre, VSVGのパッケージング用プラスミド、さらにウイルスの産生効率を高めるpAdvantageプラスミドの計4種類のプラスミドを293T細胞に同時にトランスフェクションする必要があるが、十分量のウイルス粒子を産生するにはそれぞれのプラスミドをミリグラム単位で精製する必要がある。京都大学内のP2実験施設において実験を始める準備を整え、同プラスミドを大腸菌にトランスフォーメーションしてプラスミドの回収を開始した。当初は、トランスフォーメーションの効率が悪く、またトランスフォーマントを用いたプラスミドの回収効率が悪いため、供与を受けたプラスミドを一旦諦めざるを得ず、改めて新しいプラスミドを入手することとした。同様の問題が発生し、再々度プラスミドを入手することになってしまったが、ようやく効率の良いトランスフォーメーションに成功し、それぞれのプラスミドが組み込まれたトランスフォーマントを得ることが出来た。現在、ウイルス産生に向けて大腸菌の大量培養の段階に入っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
入手したプラスミドの品質が何らかの理由で十分でなく、大腸菌を安定してトランスフォームできなかった。そのため、条件検討などに時間を費やし、また新たにプラスミドを入手せざるを得ない状況に陥ったため、予定よりもやや時間がかかってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
高力価のウイルス粒子を作成するため、各プラスミドをもった大腸菌を大量培養して十分量のプラスミド精製を行い、ウイルス粒子を十分量作成することを第一の目標とする。今年度はプラスミドの精製を行うと同時にスモールスケールでのウイルスの産生実験を開始し、品質のチェックを行う予定である。さらに計画に従って、さい帯血より磁気ビーズを用いて造血幹細胞分画を濃縮してウイルスを感染させたうえでこれをマウスへ移植して生着させる。マウス体内で安定してヒト造血がみられる2-3ヶ月をめどに骨髄細胞を採取し、磁気ビーズを用いてヒト細胞を濃縮してフローサイトメトリーでmiR-126を高発現している細胞の性質につき解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
ウイルス粒子作成の際に大量のプラスミド精製と293T細胞へのトランスフェクションが必要となりそのための試薬やさい帯血より造血幹細胞分画を濃縮するための細胞分取用の磁気ビーズ、効率良く臍帯血へ感染を起こすために必要な培養液や各種サイトカイン、さらには移植に必要な免疫不全マウス(NOGマウス)の維持、移植後マウスから骨髄細胞を回収してヒト細胞へ濃縮するために必要な磁気ビーズ、フローサイトメトリー用の抗体などが必要となる。
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