研究課題/領域番号 |
24591551
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高田 英俊 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70294931)
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研究分担者 |
瀧本 智仁 九州大学, 大学病院, 特任助教 (50599511)
田中 珠美 九州大学, 大学病院, 学術研究員 (60423547)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 炎症性疾患 / 自己炎症 / Card15 |
研究概要 |
ブドウ膜炎を呈した患者においてCard15遺伝子の有無を確認し、変異Card15遺伝子の機能を調べるために、変異Card15遺伝子を発現ベクター3xFLAG-CMV-14 vectorに導入し、ルシフェラーゼアッセイにて機能の変化を検討した。若年性サルコイドーシス患者で既に報告のある変異については、ルシフェラーゼアッセイにてNF-kappaBの活性更新を確認し、新たに同定した変異についても同様の結果が得られた。今回新たに、優性遺伝形式をとる家族性地中海熱患者家系を同定し、その原因として、MEFV遺伝子の片方のアリルに2つの遺伝子変異があることを確認した。Caspase1/IL-1betaを介する炎症発生機序の新たな知見であり、この2変異のあるMEFV遺伝子についても、発現ベクターに導入し、その機能的変化を確認するため準備を行っている。 Card15遺伝子異常を伴うブドウ膜炎患者、Chronic infantile neurologic cutaneous and articular syndrome (CINCA)症候群患者、家族性地中海熱患者のiPS細胞を、患者末梢血MNCから樹立した。方法は、提供された末梢血単核球に、SeVベクターにて4因子(Oct4、Sox2、KLF4、Myc)を発現させる方法を用いた。樹立したiPS細胞は、OCT4, SOX2, TRA-1-81, TRA-1-60, NANOGなどを発現し、マウスへの移植により多分化能を確認した。iPS細胞は今後の研究のため継代、保存しており、来年度は他のiPS細胞の樹立および、iPS細胞の機能的な解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
患者検体の採取は順調に進んでいる。 Card15の機能解析は、クローニング、遺伝子変異変異の導入に時間を要した。 iPS細胞の誘導は時間のかかる作業である。iPS細胞の樹立は確認できたが、まだ多くの患者検体からのiPS細胞を樹立する必要がある。また、今後行うべき、種々の細胞に分化させた解析に関しては、現在準備中である。ヒト化マウスの研究については、iPS細胞作製を優先させ、次年度以降に行う事とした。
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今後の研究の推進方策 |
ブドウ膜炎、若年性サルコイドーシス、自己炎症性疾患などの患者由来のiPS細胞作製を継続する。また、ルシフェラーゼアッセイを中心として、それぞれの疾患の変異遺伝子の機能解析も並行して行っていく。 樹立したiPS細胞については、種々の分化した細胞に誘導し、その機能解析を行う。Card15遺伝子変異、MEFV遺伝子変異、NLRP3遺伝子変異など、それぞれの変異による機能的変化を、細胞の遺伝子やタンパクの発現、特に炎症性サイトカイン産生能を解析していく。これによって各細胞分化段階における炎症の特徴、炎症を起こしているメカニズムや背景を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
直接経費としては、各種試薬などの物品費に1,050,000円、旅費200,000円、検体送料などに50,000円を、間接経費としては390,000円を予定している。
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