研究課題/領域番号 |
24591552
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
住江 愛子 九州大学, 環境発達医学研究センター, 特任准教授 (80335968)
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研究分担者 |
野崎 高史 九州大学, 環境発達医学研究センター, 学術研究員 (80635821)
諸隈 誠一 九州大学, 環境発達医学研究センター, 学術研究員 (50380639)
古江 増隆 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70134583)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 小児アトピー性皮膚炎 / 臍帯血 / 腸内細菌叢網羅的解析 |
研究概要 |
【研究目的】本研究では、子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)に参加している子どもたちのうち、保護者の同意が得られた児を対象に、アトピー性皮膚炎の発症の有無、発症した場合はその経過と、腸内細菌叢網羅的解析結果との関連の解明を行う。【対象者】エコチル調査に参加している子どもたちのうち、保護者の同意が得られた児【対象疾患】アトピー性皮膚炎もしくはアトピー性皮膚炎疑い【対象検体】当初は対象者からの便のみを研究対象とする計画であったが、アトピー性皮膚炎と個体の遺伝的背景も解析するため、エコチル調査によって回収される臍帯血に余剰がでた場合、臍帯血も研究対象とすることに変更した。 【研究実施状況】平成24年度末までに、エコチル調査九州大学サブユニットセンターにおいて3140人の登録が得られた。そのうちこれまでの出生数は約2000であるが、これは出生直後から1歳半までの児を含んでいる。エコチル調査の質問票によると、アトピー性皮膚炎もしくはアトピー性皮膚炎疑いの児は、合計58人であった。出生直後の児は未発症である可能性もあり、当初の見積もりより少数であった。アトピー性皮膚炎を発症していない児も含む1000人の臍帯血より、DNAおよびRNAをそれぞれ抽出した。アトピー性皮膚炎関連遺伝子のうち、どれを本研究対象とするかは現在検討中である。対象者からの便の回収は、家庭に参加者が冷蔵キットで送付する手間がかかることもあり、現在のところ5検体にとどまっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は対象者からの便のみを研究対象とする計画であったが、アトピー性皮膚炎と個体の遺伝的背景も解析するため、エコチル調査によって回収される臍帯血に余剰がでた場合、臍帯血も研究対象とすることに変更した。これに関しては、これまでに1000人の臍帯血より、DNAおよびRNAをそれぞれ抽出しており、おおむね順調に進展している。アトピー性皮膚炎関連遺伝子のうち、どれを本研究対象とするかは現在検討中であること、エコチル調査対象の児は現在出生直後から1歳半までであるので、現在はアトピー性皮膚炎未発症である可能性があること、などから、それ以降の進展が困難であった。対象者からの便の回収に関しては、家庭に参加者が冷蔵キットで送付する手間がかかることもあり、現在のところ5検体にとどまっているのが現状である。
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今後の研究の推進方策 |
(1)アトピー性皮膚炎発症もしくはアトピー性皮膚炎疑いの児の抽出(2)臍帯血からのDNAおよびRNA抽出は継続(3)アトピー性皮膚炎関連遺伝子のうち、どれを本研究対象とするかを決定(4)アトピー性皮膚炎と個体の遺伝的背景の解析(5)児の便の回収(6)培養可能・難培養にかかわらず、腸内細菌叢を構成する細菌種の同定や菌種組成を解析する方法として、全ての細菌種が有する16SリボゾームRNA(16S)遺伝子を指標として腸内細菌叢を網羅的に解析(7)小児アトピー性皮膚炎発症・経過と腸内細菌叢網羅的解析結果との関連の解明
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次年度の研究費の使用計画 |
対象者からの便の採取・回収・解析に関して、(1)保護者への説明(2)保護者の同意(3)便採取キットを各々の家庭に説明書付きで送付(4)児の便採取(5)児の便送付回収(6)全ての細菌種が有する16SリボゾームRNA(16S)遺伝子を指標として腸内細菌叢を網羅的に解析(7)結果説明書を各保護者に送付、の手順を再確認し決定したので、手順に従い計画を進める予定である。このことにより、検体回収・解析などが加速されると考えられる。血液検体の処理・解析に加え、多数にわたる便検体の処理・解析のため、次年度の研究費使用を計画している。
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