研究課題
乳児の喘息の発症には遺伝的素質に加えてTh2の免疫環境が重要であると報告されている.最近の喘息患児の増加は環境要因の変化がその原因であると考えられる.その中でウイルス感染,化学物質,種々の抗原性を有する物質の暴露が重要である. 外的な因子に最初に暴露されるのは粘膜上皮や皮膚の上皮細胞であり,これらの細胞が発現している受容体,受容体を介して産生する活性物質がTh2免疫環境に関与していることが強く示唆される.今回その機序を解明することを目的に研究をおこなった. ヒトの気道上皮や皮膚上皮はサイトカイン,ケモカイン,プロスタグランディン,ロイコトリエンなどに対する受容体や温度感受性受容体(Transient Receptor potential cation channel;TRP)等を発現し,種々の活性物質のシグナルに反応してPGE2, 15HETE,IL-1β,IL-11, IL-8,eotaxin3等の活性脂質,ケモカイン,サイトカインを産生することが判明している.近年IL-33がTh2免疫環境の形成に重要な役割を果たしていることが報告されているが,我々はケラチノサイトが IL-33を産生することを確認し,産生がTNFαやINFγで制御されていることを確認した.上皮細胞が感染や刺激に伴う炎症に反応してIL-33を発現を誘導し,Th2免疫環境の形成に関与しており,アレルギー性炎症の発現に役割を果たしていることを明らかにした.また気道上皮において温度感受性受容体の一つであるTRPA1の発現がウイルス感染のモデルと考えられるPolyIC刺激で増加することが判明した.この意義については明確ではなく今後の研究が必要である.
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
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