研究課題
【緒言】川崎病における顆粒球MMP9と血小板TIMP1の、①細胞成分分画、②熱反応性を検討した。【対象と方法】①急性期川崎病男児、対照として菌血症男児、4人の健常成人の顆粒球、血小板を、0.32Mショ糖液に懸濁し、ホモジェナイザーを用いてホモジェナイズし、遠心によって、細胞分画に分け、ELISA法にて両酵素の蛋白量当りの濃度を測定した。また、川崎病患児の顆粒球の塗抹標本をMMP9抗体にて免疫染色し、MMP9の局在を検討した。②急性期の川崎病患児8名の顆粒球をRPMI培地+10%FCS、血小板を5%Alb添加Tyrode-HEPES培地にて、37/41℃下で4/12時間培養し、各細胞および培養上清中のMMP9とTIMP1の蛋白量をELISA法にて検討した。【結果】①川崎病患児のMMP9は顆粒球の核-細胞片分画(22.6ng/μg蛋白)に、TIMP1は血小板はのミトコンドリア分画に(37.4ng/μg蛋白)、高濃度含有されていた。顆粒球の核膜にMMP9が局在していることを免疫染色で確認した。②顆粒球MMP9蛋白(ng/g蛋白)は、37℃培養では減少するも(0/4/12時間=122.8/31.5/61.2)、41℃では保たれ(122.8/90.1/90.9)、12時間後は37℃に比し、41℃が有意に高値であった(p=0.0117)。血小板TIMP1蛋白(ng/g蛋白)は、37℃(32.1/22.9/15.0)、41℃(32.1/16.9/15.9)に差はなかった。【結論】MMP9は顆粒球の核分画に、TIMP1は血小板のミトコンドリア分画に局在していた。MMP9による冠動脈瘤の形成が顆粒球の血管内皮への直接浸潤である可能性を示唆した。また、急性期の遷延性高熱は、顆粒球MMP9の産生能を維持させることを示し、解熱のほかにMMP9の特異的抑制が有用と考えた。
2: おおむね順調に進展している
MMP9は顆粒球の核分画に、TIMP1は血小板のミトコンドリア分画に局在していたこと、MMP9による冠動脈瘤の形成が顆粒球の血管内皮への直接浸潤である可能性を示唆したこと、さらに、急性期の遷延性高熱は、顆粒球MMP9の産生能を維持させることを示すことに成功した。
我々が見出した川崎病患児の顆粒球MMP9、血小板TIMP1の、熱反応性、細胞分画が、ステロイド、γグロブリンなどの既存の治療薬でどのように変化するのか?について、蛋白量、酵素活性にて検討する予定。
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Pediatr Neurol
巻: Epub ahead of print ページ: in press
10.1016/j.pediatrneurol.2014.01.026
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Am J Med Genet A
巻: 161 ページ: 2600-3
10.1002/ajmg.a.36107