【目的】川崎病における冠動脈瘤形成への関与が示唆されているMatrix metalloproteinase(MMP)9とTissue inhibitor of matrix metalloproteinase (TIMP)1について、我々は、前者が顆粒球に、後者が血小板に高濃度に含有されていることが見出した。今回は、健常者の顆粒球、血小板のそれぞれを各種薬剤と共培養し、それぞれに対する顆粒球MMP9と血小板TIMP1の反応性について検討した。 【方法】川崎病患児と、健常成人8名の末梢血を採取し、Ficoll遠心密度勾配法、10%アルブミン、6%デキストラン処理にて、顆粒球、血小板を単離精製後、それぞれ10%FCS添加RPMI、5%アルブミン添加Tyrode-HEPESに懸濁し、ガンマグロブリン(50mg/ml)、メチルプレドニゾロン(80μg/ml)、ウリナスタチン(100U/ml)と共培養した。Dual Fluoresence Cell Counter(Logos System)を用いて各血球の培養中の生存能を、また、ELISA法(第一ファインケミカル)を用いて培養上清中のMMP9、TIMP1蛋白量を検討した。 【結果】顆粒球は3時間後まで、血小板は6時間後まで生細胞がみられた。培養3時間後の顆粒球MMP9(ng/ml)は、無刺激時に比し、ガンマグロブリン共培養下で低下(131.7±60.2→87.8±38.7、p=0.117)したが、メチルプレドニゾロン、ウリナスタチンに差はみられなかった。血小板TIMPはこの3薬剤による影響を受けなかった。 【結論】顆粒球MMP9の抑制にはガンマグロブリンが有効である可能性を示唆した。
|