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2015 年度 実績報告書

先天性貧血に関与する選択的翻訳機構の解明:ゼブラフィッシュを用いた研究

研究課題

研究課題/領域番号 24591556
研究機関宮崎大学

研究代表者

上地 珠代  宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 研究員 (10381104)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワードリボソームタンパク質遺伝子 / 翻訳異常 / ゼブラフィッシュ / ダイアモンド・ブラックファン貧血
研究実績の概要

リボソームの生合成に関わる因子の異常が、骨髄機能不全をはじめ様々な疾患の発症に関与することが示唆されている。最近ではこれらを「リボソーム病」呼び、翻訳調節の異常が疾患を引き起こすという新たな概念にもとで研究が進められている。本研究では、赤芽球形成不全を示すダイアモンド・ブラックファン貧血(DBA)のゼブラフィッシュモデル(リボソームタンパク質S19遺伝子の発現を抑制した胚)を用いて、赤血球分化に特異的に影響を及ぼす翻訳調節異常を明らかにすることを目的とする。
前年度は、ポリソームを形成するmRNA(翻訳されるmRNA)の解析とトランスクリプトーム解析とを比較し、翻訳効率を算出した。翻訳効率が低下する遺伝子リストの上位75個の遺伝子について、患者及びその家族のエキソーム解析の結果を用いて変異の探索を行った。しかし、新たなDBA遺伝子の有力な候補となる遺伝子の同定には至らなかった。
一方で、翻訳効率が50%以下に低下する遺伝子75個の中には、糖鎖修飾に関与する遺伝子が6個含まれることを見いだした。その内のひとつは、gata1に次いで2番目にもっとも翻訳効率が低下する遺伝子であった。そこで、この遺伝子のmRNAをin vitro合成し、リボソームタンパク質遺伝子S19に対するアンチセンスとともに受精卵に注入した。その結果、DBAモデルにおいて赤血球が増加することを確認した。この遺伝子は、ゼブラフィッシュの初期胚において、造血組織で強く発現することが確認されている。この遺伝子の翻訳効率が低下することで、赤血球の分化に影響が及ぼされる可能性があると考えた。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2016 2015

すべて 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件) 図書 (1件)

  • [学会発表] Decreased translation efficiency of mRNAs required for hematopoiesis in a zebrafish model of Diamond-Blackfan anemia2016

    • 著者名/発表者名
      Tamayo Uechi, Yukari Nakajima, Maki Yoshihama, Tsutomu Toki, Yutaka Suzuki, Sumio Sugano, Etsuro Ito and Naoya Kenmochi
    • 学会等名
      The 14th Diamond Blackfan Anemia International Consensus Conference
    • 発表場所
      アトランタ(米国)
    • 年月日
      2016-03-05 – 2016-03-07
    • 国際学会
  • [学会発表] ゼブラフィッシュを用いたリボソーム病発症メカニズムの解明2015

    • 著者名/発表者名
      上地珠代, 中島由香里, 吉浜麻生, 鈴木穣, 菅野純夫, 剣持直哉
    • 学会等名
      第38回日本分子生物学会年会・第88回日本生化学会大会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-04
  • [学会発表] リボソーム病モデルを用いた発症機序の解明と化合物スクリーニング2015

    • 著者名/発表者名
      上地珠代, 吉浜麻生, 中島由香里, 上米良美香, 剣持直哉
    • 学会等名
      第1回ゼブラフィッシュ創薬研究会
    • 発表場所
      津
    • 年月日
      2015-11-06
  • [学会発表] Selected mRNA translation and ribosomopathies: studying the molecular pathogenesis of congenital anemia using zebrafish as a model system2015

    • 著者名/発表者名
      Tamayo Uechi, Yukari Nakajima, Maki Yoshihama, Yutaka Suzuki, Sumio Sugano, and Naoya Kenmochi
    • 学会等名
      International Conference on Ribosome Synthesis
    • 発表場所
      ブリュッセル(ベルギー)
    • 年月日
      2015-08-19 – 2015-08-23
    • 国際学会
  • [図書] 第2章 動物実験の対象:ゼブラフィッシュ, 第3章 動物の飼育管理・基本的手技:魚類(ゼブラフィッシュ), 第4章 動物実験手法:ゼブラフィッシュを用いた疾患モデルの作製・解析. 大・中・小動物実験プロトコル2016

    • 著者名/発表者名
      上地珠代, 剣持直哉
    • 総ページ数
      146
    • 出版者
      宮日文化情報センター

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公開日: 2017-01-06  

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