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2013 年度 実施状況報告書

造血幹細胞の加齢に関する研究ー移植による変化ー

研究課題

研究課題/領域番号 24591557
研究機関鹿児島大学

研究代表者

河野 嘉文  鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (20260680)

研究分担者 岡本 康裕  鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (30398002)
キーワード造血幹細胞 / 加齢 / 転写因子 / CD34陽性細胞
研究概要

細胞の加齢評価のマーカーは多種存在するが、ヒト細胞のテロメア長は10歳以降では経年的な変化が小さく単独では造血細胞加齢の指標に利用しにくいこと、ヒト造血幹細胞内に蓄積されるROSは移植によって短期的には変動しないことを確認した。他の大部分の研究で用いられるマウス造血幹細胞ではなく、ヒト造血幹細胞を評価しなければ若年者に成人の造血幹細胞を移植することの是非を論じることはできないと考えている。そこで、ヒト造血幹細胞でも確実に発現している造血幹細胞の初期分化段階に発現する転写因子のIkarosとCEPBPAに着目し、それらのmRNA発現パターンを定量的に検討することで、一定の細胞集団の加齢(老化)現象を推定できると考え、リンパ球系でIkaros、骨髄球系でC/EBPαを選択した細胞を集団として加齢評価する方法を検討してきた。
現在までに実施した結果では、ヒトの49歳以下の検体では、CD34陽性細胞はIkarosの発現量が加齢とともに減少していることを明らかになった。またIkaros/CEBPA比でも同様に加齢とともに減少傾向にあることを示した。造血幹細胞の加齢現象を明確に表現するためには、さらに高齢者の検索が必要と考え、50~86歳の検体(11検体)を加えて検討した。従来の研究と同様に8歳児の細胞をコントロールとすると、これら高齢者の細胞では対照遺伝子GAPDHの発現量が低下しているため、Ikaros、CEBPAの発現量が極めて高値に算出された。そこでGAPDHの発現量を補正する目的でIkaros/CEBPA比を用いて加齢との関連を検討したが、加齢とIkaros/CEBPA比で相関関係を照明できる値は得られなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

50歳未満の細胞評価は可能になった。50歳以上の細胞評価に工夫が必要でそれを最終年度に達成する予定である。研究全般としては着々と進んでいるが、目に見える成果としての国際雑誌での論文発表までには至っていない。研究成果が現実の造血細胞移植術に役に立つ形での報告にこだわりたいと考えて、地道に適切なマーカーとなる遺伝子の検索を続けている。

今後の研究の推進方策

高齢者つまり50歳以上の検体で、新たな対照遺伝子の決定が必要であることが判明した。最終年度では、最近報告されたWnt5aがマウスのモデルで造血幹細胞の加齢変化に関連があり、Wnt5aの発現量(mRNA定量)が若年マウスに比較して高齢マウスで上昇しているという新知見を利用する予定である。同時に、若年造血幹細胞(HSC)をWnt5a存在下で培養する方法で、HSCのβカテニン(Canonical pathwayが活性化)の変化を追跡することを併用して加齢現象の客観的証拠にすることを試みる。

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公開日: 2015-05-28  

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