研究課題/領域番号 |
24591560
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
荻原 建一 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (50623500)
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研究分担者 |
野上 恵嗣 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (50326328)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 凝固第V因子 / APC抵抗性 / 血栓症 / 小児 / 凝固第VIII因子 |
研究概要 |
まず本研究を実施するにあたり、研究実施審査申請書、研究計画書、同意書等を本学の医の倫理委員会に提出して、平成24年6月26日に承認を得た。その後、患者25名から同意書に署名の上、採血・検体保存を実施した。 患者検体での検討実施を前に、FV欠乏血漿およびFVIII欠乏血漿、精製FV、FVIII等を用いて平成24年度実験計画にある(1)~(5)の検討の予備実験を行い、それぞれの検査が問題なく実施できることを確認した。 患者25名のうち、血栓症患者は4名あり、そのうち2例は不育症、1例は小児脳梗塞、1例は深部静脈血栓症から肺塞栓症をきたした小児例であった。これら4例の精査は緊急性もあり、優先的に実施した。その結果、このうち2例で(2)PC経路異常のスクリーニング検査で異常を示し、そのうちの1例はさらに(1)FVのAPC抵抗性試験においても陽性であった。この1例のFVについて遺伝子検査も含めさらに精査予定であったが、非出血/血栓性基礎疾患のため死亡され、以降の検体採取の同意が困難となった。健常ボランティア検体と残り21名の検討を一括して実施予定であったが、(2)の検査キット「トロンボパス」の欠品から納品が大幅に遅れた。血漿検体は凍結再融解すると検体が劣化するため、検査キットの到着を待って実施することとした。検査キットは平成25年5月中に納品予定である。 そこで、当初は平成25年度に実施予定であった、遺伝子組み換えFVを用いた蛋白解析を早めに実施した。FV-wild type、FV-R506Q、FV-W1920Rの3種を、EGRあるいはビオチン化PPACKでactive siteをブロックしたAPCとの結合実験をELISAとBIAcore(表面プラズモン共鳴測定法)を用いて実施中である。 また、発端となったFV分子異常症患者の経過と病態解析について学会発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度に4名の血栓症患者を含む25名の患者検体を得ることができた。凍結保存血漿を用いた検査は血漿を融解した際に一括して行い、再凍結を避けることが望ましいが、重要なスクリーニング検査と位置付けているトロンボパスの欠品が発生し、緊急性のある4名の血栓症患者以外の検体の検討はトロンボパスの納品を待たざるを得なかった(平成25年5月納品予定)。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年5月に検査キットが揃う予定であり、到着次第、血漿検体の解析に取り掛かる。 これらの結果とすでに実施している全血検査や外来診療データを総合的に解析し、血栓性疾患および出血性疾患における、FVの抗凝固機能の関与の可能性を検討する。 また、すでに先行して検討を開始した平成25年度の課題である、遺伝子組み換えFVを用いた蛋白解析も引き続き実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の成果をふまえ、不足する試薬や検査キットの購入に充てる。
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