研究課題/領域番号 |
24591561
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
唐澤 里江 聖マリアンナ医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50434410)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 川崎病 / 冠動脈病変 / 治療抵抗性 / 抗血管内皮細胞抗体 (AECA) / プロテオミクス / 国際情報交換 |
研究概要 |
平成24年度は川崎病 (KD) 患者血清における抗Peroxiredoxin2 (Prx2) 抗体陽性率の評価、さらに冠動脈病変合併症例および治療抵抗性症例におけるその評価より、抗Prx2抗体の臨床的意義について検討することを予定していた。しかしながら対照小児血清の準備に予定以上の時間を要しているため、① 抗Prx2抗体およびPrx2蛋白における血管内皮細胞傷害のメカニズム ②冠動脈拡張のみで冠動脈瘤を認めないKD患者血清と冠動脈血管内皮細胞 を用いた、プロテオミクスによる抗血管内皮細胞抗体 (AECA) の対応抗原の検出 ③ 治療抵抗性のKD患者血清と冠動脈血管内皮細胞および大動脈血管内皮細胞を用いた、プロテオミクスによるAECAの対応抗原の検出を進めている。 【結果】①に関して、我々は抗Prx2抗体が血管内皮細胞に結合し、炎症性サイトカインの産生や接着分子の発現を誘導し、血管内皮細胞傷害を引き起こす可能性を報告している。今回、血管内皮細胞における炎症性サイトカインの産生や接着分子の発現がPrx2蛋白共存下において増強したことが示された。さらにPrx2蛋白のみを血管内皮細胞に添加した場合でも炎症性サイトカインの産生や接着分子の発現が認められた。 ② および③に関して、血管内皮細胞抽出蛋白を用いた2次元電気泳動 (2-DE) とその後のKD患者血清を用いたウェスタンブロット法 (WB) で評価する前に、条件検討を含めまず初めに1DE-WBをおこなったところ、病態特異的なバンドが検出された。 【考察】抗Prx2抗体のみでなく、Prx2蛋白自身が血管内皮細胞傷害に関与している可能性が示唆され、現在その詳細なメカニズムを含め検討している。また1DE-WBの結果から、病態特異的なAECAの対応抗原候補蛋白が検出されており、その結果を踏まえて現在2DE-WBを進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
対照小児血清の準備に予定以上の時間を要しているため、当初の計画よりやや遅れている。しかしながらその際の対応として研究実施計画書に示したように、平成24年度には平成25年度に予定していた研究テーマについて検討した。
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今後の研究の推進方策 |
対照小児血清の準備が整い次第、川崎病患者血清中の抗Prx2抗体価を測定し、冠動脈病変合併症例および治療抵抗症例におけるその臨床的意義について検討する。また現在進行中のプロテオミクス解析で同定された抗血管内皮細胞抗体の対応抗原候補蛋白に関しては、病態における臨床的意義を含め詳細に検討していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品費として、主に2次元電気泳動試薬、培養細胞および細胞培養試薬、測定用試薬を予定している。成果発表のため学術論文の英文校正代および投稿代、学会発表の旅費を予定している。
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