研究課題/領域番号 |
24591561
|
研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
唐澤 里江 聖マリアンナ医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50434410)
|
キーワード | 川崎病 / 冠動脈病変 / 治療抵抗性 / 抗血管内皮細胞抗体 / プロテオミクス / 国際情報交換 |
研究概要 |
平成25年度はプロテオミクスで、冠動脈病変合併例の川崎病 (KD)患者血清検体と冠動脈血管内皮細胞( Human Coronary Artery Endothelial Cells:HCAEC)を用いて抗血管内皮細胞抗体(anti-endothelial cell antibody:AECA) の対応抗原候補蛋白を検出・同定する。さらに同定された蛋白に対する自己抗体陽性率と冠動脈病変合併例におけるその臨床的意義について検討することを予定していた。予定している小児血清サンプルの準備が十分でないため、①抗peroxiredoxin2 (Prx2) 抗体およびPrx2蛋白による血管内皮細胞(EC)の障害メカニズムの検討を昨年度に引き続き行った。②さらに、冠動脈拡張のみで冠動脈瘤を認めないKD患者血清とHCAECを用いたAECAの対応抗原の検出および治療抵抗性のKD患者血清とHCAECと大動脈血管内皮細胞を用いたAECAの対応抗原の検出を昨年に引き続き進めている。 【結果】① (i) 我々は蛍光抗体法に加え、cell ELISAを用いて抗Prx2抗体がEC上のPrx2蛋白と結合することを確認した。またECを炎症性サイトカインで刺激することでPrx2蛋白が細胞培養上清中に放出されることを確認した。(ii)ECをPrx2蛋白で刺激することで、特にIL-6, IL-8, TNF-αおよびGM-CSFのECからの産生が認められた。(iii)Prx2蛋白のEC上におけるレセプターの同定を試みたところ、主にToll-like receptor4であることが示された。②1DE-WBで検出されたAECAの対応抗原候補蛋白において、WBで個々の患者血清を用いて個別に評価し、現在2DE-WBで同定を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
抗Prx2抗体およびPrx2蛋白によるECの障害メカニズムの検討に関しては予定以上の成果を得ているが、小児血清の準備に時間を要しているため、本年度の研究計画は当初の予定よりやや遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
小児血清の準備ができ次第、冠動脈病変合併症例および治療抵抗性症例を含め川崎病患者血清における抗Prx2抗体の臨床的意義について検討する。さらに冠動脈拡張のみで冠動脈瘤を認めないKD患者血清とHCAECを用いたAECAの対応抗原の同定および治療抵抗性のKD患者血清とHCAECと大動脈血管内皮細胞を用いたAECAの対応抗原を2DE-WBで同定する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
予定していた物品の購入が遅れたため、次年度に購入予定とした。 消耗品の購入および成果発表を中心に使用する予定である。
|