研究概要 |
研究代表者はこれまで、活性酸素産生タンパク質複合体(NADPHオキシダーゼ)の構成因子であるgp91phoxのプロモーター領域の解析を進め、エピゲノム調節機構を明らかにした。即ち、この遺伝子の転写にはヒストンアセチルトランスフェラーゼであるGCN5が必須であることを明らかにした(Kikuchi H and Kuribayashi F et al., J. Immunol. 186, 3015-3022, 2011)。病原微生物等の貪食など、細胞が刺激された時に、細胞休止期には細胞内に存在する蛋白質、p47phox, p67phox , p40phoxとRacが、細胞膜に移行して膜蛋白質であるシトクロームb558と結合することにより、食細胞NADPHオキシダーゼは活性化される。この活性化型NADPHオキシダーゼは活性酸素を生成し殺菌する。慢性肉芽腫症(CGD)は、食細胞NADPHオキシダーゼの遺伝子異常により、細菌及び真菌感染を繰り返す疾患である。頂いた科研費により2012年度は引き続き上記GCN5がDNA polymerase ηの発現調節を行っていることを明らかにした。(Kikuchi H and Kuribayashi F et al., JBC 287(47), 39842-39849, 2012 )また、活性酸素と細菌感染との関連を著すことができた。(Akira YAMAUCHI, Akitoyo ICHINOSE, Chikage KAWAI, and Futoshi KURIBAYASHI Kawasaki Medical Journal . 38(1), 11-18, 2012 )
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本申請課題の開始以前には分っていなかったが、昨年度はGCN5がDNA polymerase ηの発現調節を行っていることを明らかにすることができた(Kikuchi H and Kuribayashi F et al., JBC 287(47), 39842-39849, 2012 )。また、スプライスの機構を明らかにし、その実験系の構築を可能にした(Koichi Oshima, Futoshi Kuribayashi、他9名 Current Chemical Genomics 6, 27-37, 2012)。更に、活性酸素と細菌感染との関連を著すことができた。(Akira YAMAUCHI, Akitoyo ICHINOSE, Chikage KAWAI, and Futoshi KURIBAYASHI Kawasaki Medical Journal . 38(1), 11-18, 2012 )
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