研究課題/領域番号 |
24591568
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(名古屋医療センター臨床研究センター) |
研究代表者 |
服部 浩佳 独立行政法人国立病院機構(名古屋医療センター臨床研究センター), その他部局等, その他 (20624513)
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研究分担者 |
堀部 敬三 独立行政法人国立病院機構(名古屋医療センター臨床研究センター), その他部局等, その他 (30209308)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | BCP-ALLモデル細胞 |
研究概要 |
今年度はBCP-ALLモデル細胞を樹立することを目標とした。本研究では体細胞において実際の小児ALLに見られるIKZF1変異を導入することを目標としており、このモデル細胞の樹立が最も重要であり、また予測通り技術的に最も困難なステップであった。従来の組み替え効率の高い細胞を用いるだけではモデル細胞の作成は困難と判断し、Zinc Finger Nuclease(ZFN)を用いることとした。 まず親株となるNalm-6細胞のexon7-8領域のSNPsをPCRおよびダイレクトシーケンシング法により同定し、多型のない部位にZFNの結合域を設定した。同部位に選択的に結合、DNA切断するZFNが完成したので、これを用いて体細胞ターゲティングをこれから行う予定である。 またモデル細胞が作製出来た場合にIKZF1を確かに欠失しているかどうかを検証するためにIKZF1のWestern blottingを用いた検出系を確立中である。Nalm-6細胞で60kDaの野生型の内因性IKZF1は検出することに成功したが、IK-6等の内因性の変異型を検出することにはまだ成功していない。平行して全長(野生型)およびエクソン4-7欠損型(IK-6発現型)の2つのIKZF1を従来型の強制発現系(Plasmid Vector)を用いて作成し、機能実験を行う予定である。野生型は完成し、Western blottingにて予測されたサイズに蛋白分子が発現することを確認した。IK-6発現プラスミドが完成後、全長発現プラスミドを陽性コントロールとし、これらの強制発現系が機能しているということを確かめる予定である。具体的には、下流の標的遺伝子の発現の変化をRT-PCRを用いて観察する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
モデル細胞の作成が終了する予定であったが、現在のところ完成していない。その理由はいくつか考えられる。まず、親株のトランスフェクション効率が低いこと、Western blottingによる検出系の確立がやや困難なこと、体細胞遺伝子ターゲティングの目標が実際の患者細胞で起こっているスプライシング異常を模倣することであり、高度な技術が要求されること、等が遅れている理由であると考えられる。 しかし、これを理由に技術的に簡易な方向に研究計画を変更することは今のところ考えていない。なぜなら、実際に臨床医学の現場で役に立つ成果を出すためには実際に患者で起こっている病態を再現することが重要であると考えるからである。
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今後の研究の推進方策 |
完成したZinc Finger Nuclease(ZFN)発現プラスミドを用いて体細胞ターゲティングを行う。モデル細胞が作製出来た場合には、Western blottiongおよびRT-PCRを用いてまず目的どおりのIK-6型蛋白分子がはつげんしているかどうかを確認する。次いで機能実験を行う予定である。 モデル細胞系を樹立することに成功すれば、治療応用を目指したスクリーニング系 を確立することを目標として、まず低分子阻害剤・RNAi ライブラリーによるIKZF1変異 細胞においてのみ増殖を選択的に抑制する低分子阻害剤あるいはRNAiを同定していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
IKZF1選択的Zinc Finger Nuclease(ZFN)、および体細胞遺伝子ターゲティングを行うための試薬の購入に当てる予定である。その他、IKZF1の転写因子としての機能解析のためには新たな発現ベクター、ルシフェラーゼ発現ベクターによる転写活性測定系、クロマチン免疫沈降解析系等のための試薬を購入する予定である。
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