研究課題
巣状分節性糸球体硬化症(focal segmental glomerulosclerosis; FSGS)を含む特発性ネフローゼ症候群の発症機序は未だ不明な点が多いが,近年腎糸球体上皮細胞(ポドサイト)の細胞骨格蛋白の関与が指摘されている。Nonmuscle myosin heavy chain-IIA (NMMHC-IIA)をコードする遺伝子MYH9の異常はEpstein症候群の原因であり,腎臓では二次性FSGSを引き起こす。本研究では,まず腎臓におけるNMMHC-IIAの局在を検討した。正常ラット糸球体およびヒト糸球体において、NMMHC-IIAの蛍光抗体法による免疫染色を行い、これがポドサイトに局在し、さらに免疫電顕の手法を用いて、NMMHC-IIAがポドサイトの一次突起に局在することを明らかにした。糸球体におけるNMMHC-IIAの発現はMYH9変異を有するEpstein症候群患者で著明に低下していた。高度蛋白尿をともなう慢性糸球体腎炎やネフローゼ症候群患者で検討したところ、特発性ネフローゼ症候群,特に一次性FSGSの患者の腎糸球体においてNMMHC-IIAの発現が特異的に低下していた。しかも、FSGSや他の慢性糸球体腎炎において他のポドサイト関連蛋白の明らかな発現変化はみられなかった。これらの結果から、NMMHC-IIAがポドサイトの細胞骨格・形態維持に重要な役割を果たしており,特発性ネフローゼ症候群の発症と強く関連していることを示唆された。
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