研究概要 |
平成23年度までに抽出したQT短縮者の経過観察を引き続き行った。平成24年度にあらたに不整脈による症状を認めた例はなかった。また若年突然死などの家族歴が新たに確認された例もなかった。新たに遺伝子検査を施行した例もなかった。 平成24年度に抽出されたQT短縮者は7名(男子5名と女子2名)であった。抽出した全員から精密検査の同意を得られた。家族歴では、祖父が38歳に睡眠中に突然死をした例があった。既往歴で熱性けいれんや失神等の心イベントを疑わせるものはなかった。1次検診でのQTc (Bazzet補正) は短い方から0.313, 0.313,0.323, 0.323, 0.330, 0.333 0.337であり、典型的なQT短縮者はいなかった。 被抽出者全員に当院で精密検査を行った。1次検診でQTc 0.313の例は、当院での心電図でQTc 0.390とQT短縮は認めず一過性のQT短縮が疑われた。血液検査で電解質や性ホルモンに異常を認めた症例はなく、2次性QT短縮と診断された例はなかった。顔面浸水心電図、運動負荷心電図やホルター心電図では、1例に心室性期外収縮(単発、単形性 、R on Tなし)認めたが、心室頻拍、心室細動、心房細動を認めた症例はなかった。遺伝子検査に同意を得たものはいなかった。以上より、今回の研究におけるQT短縮症候群の診断基準:確定例 ①QTc<340でかつ以下の1つを満たすもの。1)心房細動や心室細動が確認されたもの、2)心肺停止からの回復者。②QT短縮症候群の家族歴。QTc<360でかつ、遺伝子診断がついたもの。疑い例 QTc<360でかつ、以下の1つを満たすもの。1)不整脈に関連の症状(失神等)、2)若年突然死の家族歴。に従うと、平成24年度の被抽出者でQT短縮症候群と確定した症例はなかったが、QT短縮症候群疑い症例が1例いた。
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