研究課題/領域番号 |
24591570
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
鈴木 博 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (00401737)
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研究分担者 |
星名 哲 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (80444165)
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キーワード | 致死性不整脈 / 学校心臓病検診 / 若年突然死 |
研究概要 |
平成24年度までに抽出したQT短縮者の経過観察を引き続き行った。平成25年度に新たに不整脈による症状を認めた例はなかった。また若年突然死などの家族歴が新たに確認された例もなかった。突然死の家族歴のある2例に遺伝子検査を新たに勧め、1例に同意を得て施行し、現在解析中である。。 平成25年度に抽出したQT短縮者は3例(男子2例と女子1例)であった。抽出した全員から精密検査の同意を得られた。家族歴では、父がQTc358で、30歳に心房細動を発症し、QT短縮症候群を疑う1例があった。さらに同例は、原因不明の意識障害を乳児期から繰り返していた。 1次検診でのQTc (Bazzet補正) は0.326, 0.327, 0.355であった。 被抽出者全員に当院で精密検査を行った。3例とも一過性のQT短縮ではなかった。血液検査で電解質や性ホルモンに異常を認めた症例はなく、2次性QT短縮と診断された例はなかった。顔面浸水心電図、運動負荷心電図やホルター心電図では、心室頻拍、心室細動、心房細動を認めた症例はなかった。心房細動の家族歴と意識障害の既往がある1例は遺伝子検査を同意の上施行したが現在解析中である。以上より、今回の研究におけるQT短縮症候群の診断基準:確定例 ①QTc<340でかつ以下の1つを満たすもの。1)心房細動や心室細動が確認されたもの、2)心肺停止からの回復者。②QT短縮症候群の家族歴。QTc<360でかつ、遺伝子診断がついたもの。疑い例 QTc<360でかつ、以下の1つを満たすもの。1)不整脈に関連の症状(失神等)、2)若年突然死の家族歴。に従うと、平成25年度の被抽出者でQT短縮症候群と確定した症例はなかったが、QT短縮症候群疑い症例が1例いた。現在までQT短縮症候群を確定したものはいないが、QT短縮症候群疑いは、計6例となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
早期再分極の精査を行うには当院の受入数に限界があり、他の新潟市学校心臓病検診の精査指定施設の協力を得ることもできず。平成25年度も行えなかった。 QT短縮者に新たに遺伝子検査に同意を得ることができた。 早期再分極の抽出をより正確に行うためには、 平成25年度より1時検診での12誘導心電図を導入することができた。 心電図解析ソフトの導入を行ったため、抽出の効率化を図ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は新規抽出、精査、経過観察、遺伝子解析を継続する。 平成26年度には、平成21~25年までの被抽出者の経過観察を行う。それまでの研究結果をまとめ国際学会に報告する。 本研究の成果と、QT短縮症候群や早期再分極症候群の既報告も参考にして、学校心臓病検診でのQT短縮と早期再分極の抽出基準策定の資料を作成し、申請者が幹事を務 める日本小児心電学研究会で基準策定に向けた議論をする。さらに平成26年度には、抽出基準策定のための資料とするため、QT短縮症候群小児例の全国調査を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
遺伝子検査の施行が少なかったため。 予定していた分担研究者の学会発表が行われなかったため。 今年度施行できなかった遺伝子検査を施行すること。 2次検診の人件費と保険適応外検査に使用する。 また成果発表のため、論文掲載、学会発表に使用する。
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