研究課題
平成26年度に抽出したQT短縮例と早期再分極例はなかった。平成25年度までに抽出したQT短縮39例の経過観察を引き続き行った。平成26年度に新たに不整脈による症状を認めた例はなかった。また若年突然死などの家族歴が新たに確認された例もなかった。若年突然死の家族歴のある2例と若年発症の心房細動の家族歴と意識障害の既往がある1例、合計3例に遺伝子検査を施行したが、既知の遺伝子異常を認めた例はなかった。以上より、今回の研究におけるQT短縮症候群の診断基準:確定例 ①QTc<340でかつ以下の1つを満たすもの。1)心房細動や心室細動が確認されたもの、2)心肺停止からの回復者。②QT短縮症候群の家族歴。QTc<360でかつ、遺伝子診断がついたもの。疑い例 QTc<360でかつ、以下の1つを満たすもの。1)不整脈に関連の症状(失神等)、2)若年突然死の家族歴。に従うと、これまでQT短縮症候群の確定例はなく、疑い例は計6例のままであった。一方2013年にHRS/EHRA/APHRS Expert Consensus StatementでQT短縮症候群の診断基準が提唱された。主に成人例に基づき作成され、以下をQT短縮症候群とした。1) QTc≦330ms。 または2) QTc≦360ms かつ以下の一つ以上を認めるもの。 ①原因となる遺伝子異常がある。②心室頻拍・心室細動の既往(他に原因となる心疾患がない)。③QT短縮症候群の家族歴。④40歳以下の突然死の家族。この診断基準に基づくと、本研究において、2009年度に限っただけでも抽出した14例中7例が確定例となり、過剰診断となっている可能性が高く、これを学校検診の抽出基準とするのは適切ではないと判断した。我々の研究成果を鑑み、より診断基準の改訂が必要と考えられた。 さらに適切な抽出基準策定のため、研究者が幹事を務める日本小児心電学会を中心にして、QT短縮症候群症小児例の全国調査を行い、自験例も含め、9例を集積できた。
3: やや遅れている
QT短縮の抽出基準策定については、新潟市学校心臓病検診での抽出が進んでいる。さらに日本小児心電学会での議論や全国調査も行うことができ、順調に進んでいる。但し、早期再分極については、2次精査を施行する施設の受け入れ体制が整わず。進んでいない。
平成27年度には、早期再分極者の抽出、精査にあたる。平成21~26年までの被抽出者の経過観察を行う。それまでの研究結果をまとめ国際学会に報告する。本研究の成果と、QT短縮症候群や早期再分極症候群の既報告も参考にして、学校心臓病検診でのQT短縮の抽出基準策定を日本小児心電学会の幹事で構成された、ワーキンググループで行っていく。
予定していた国際学会での発表を見送ったため。また予定していた2次検査とその解析作業が行われなかった。予定していたよりも遺伝子解析が少なかった。
国際学会での発表を行う。2次検査とデータ解析のための人件費とデータ解析ソフトの購入を予定。遺伝子解析をさらに行うために使用予定。
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Circ Arrhythm Electrophysiol.
巻: 6 ページ: 1122-8
10.1161/CIRCEP.114.001806.