研究課題/領域番号 |
24591571
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
市田 蕗子 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (30223100)
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研究分担者 |
西田 尚樹 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (10315088)
畑 由紀子 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (30311674)
齋藤 和由 富山大学, 大学病院, 助教 (30566097)
小澤 綾佳 富山大学, 大学病院, その他 (40596540)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 遺伝子 / 循環器 / 心筋症 |
研究概要 |
本研究の目的は、心筋緻密化障害の臨床遺伝学的研究の集大成として、サルコメア遺伝子の網羅的解析を行い、発症への関与を明らかにすることである。そして、遺伝子異常が、他の心筋症とは異なるサルコメア蛋白の機能異常を引き起こし、特異な病態を引き起こしていることを立証することである。 平成24年度の研究では、大規模な全国調査を行い、小児期発症の心筋緻密化障害の臨床像、他の心筋症を含めた家族歴について検討を行った。承諾が得られた症例で、サルコメア遺伝子変異に関し、網羅的な遺伝子解析を行った。心筋緻密化障害では、同一家族内でも表現型に差が見られることから、承諾が得られた場合には、家族に関してもサルコメア遺伝子異常に関しスクリーニングを行った。また、サルコメア遺伝子変異のある群とない群で、心筋緻密化障害の重症度や臨床経過の比較を行い、また、遺伝子型と表現型の関連を検討した。さらに、発見されたサルコメア遺伝子変異が、サルコメア蛋白の機能にどのような影響を与えているか、心筋の伸展性やCa感受性を検討し、他の心筋症での機能異常と比較検討した。 1) 全国調査 と臨床像の検討 全国の小児科あるいは小児循環器科約100施設にアンケートを行い、小児期発症の心筋緻密化障害の頻度を把握。特に、家族性の有無、他の心筋症の有無、致死的不整脈や突然死の有無について検討した。 2) 遺伝子解析 承諾が得られた症例では、サルコメア遺伝子変異に関しスクリーニングを行った。特に、これまで肥大型心筋症や拡張型心筋症で報告されている遺伝子変異の頻度、種類に関し比較検討を行った。特に、心不全や不整脈を合併する例としない例での遺伝子変異の頻度、種類に関し比較検討を行った。得られた血液検体から末梢血リンパ球を採取し、DNA遺伝子を抽出し、PCRと DNA sequencingを用いて遺伝子解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)全国調査 と臨床像の検討に関しては、全国の小児科あるいは小児循環器科約100施設にアンケートを行い、小児期発症の心筋緻密化障害の頻度を把握することが可能であった。特に、家族性の有無、他の心筋症の有無、致死的不整脈や突然死の有無について検討した。 2) 遺伝子解析に関しては、承諾が得られた症例では、サルコメア遺伝子変異に関しスクリーニングを行った。特に、これまで肥大型心筋症や拡張型心筋症で報告されている遺伝子変異の頻度、種類に関し比較検討を行った。特に、心不全や不整脈を合併する例としない例での遺伝子変異の頻度、種類に関し比較検討を行った。 3)機能解析に関しては、変異心筋細胞の作製を行い、今後研究を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の研究を継続し、機能解析を進める。変異心筋細胞の作製<心室筋細胞の単離> ラットに深麻酔を吸入させた後に心臓を摘出し、酵素を用いて心筋細胞を単利精製した後に、パラフィン固定を行う。単離した細胞は、24 時間培養する。<プラスミド作製と変異遺伝子の発現および遺伝子導入>ヒトサルコメア遺伝子cDNAをヒト心臓ライブラリーからRT-PCRを用いて単離した後に、これのcDNAをTag付のプラスミドにクローニングする。次にこのプラスミドを標的遺伝子にプライマーを介在させてPCRにて遺伝子変異を起こさせる。コンペテントセルをトランスフォーメーションさせてプラスミドを増幅させた後に、変異遺伝子および正常遺伝子がクローニングされているこれらのプラスミドを、リポフェクション法を用て、ラット心筋細胞に遺伝子導入を行う。 遺伝子導入の確認は、遺伝子導入された細胞のPCRおよびdirect sequencingにて確認する。<変異サルコメアの形態評価> 変異型のサルコメアが形態的な表現の差異を生じるか、免疫組織染色を行い評価する。4)変異サルコメアの機能解析。発見されたサルコメア遺伝子変異が、サルコメア蛋白機能にどのような影響を与えているかを心筋細胞収縮連関を検討する。心筋緻密化障害ではどのような収縮特性が見られるかを観察し、肥大型心筋症や拡張型心筋症と比較検討する。 平成24-25年度の研究を継続し、3年間の研究成果をまとめ検討を行う。特に、遺伝子変異の結果に関し、再度確認し評価する。さらに、学会発表および学会誌への研究成果の発表を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究は概ね順調に進んでいたが、285円の残金があった。 これまでの研究を継続し、機能解析を進めるため、以下の消耗品に研究費を使用する。 3)変異心筋細胞の作製<心室筋細胞の単離> ラット心臓を摘出し、酵素を用いて心筋細胞を単利精製した後に、単離した細胞を単離するため、酵素、培養液など消耗品を購入する。<プラスミド作製と変異遺伝子の発現および遺伝子導入>ヒトサルコメア遺伝子cD NAをヒト心臓ライブラリーからRT-PCRを用いて単離した後に、これのcDNAをTag付のプラスミドにクローニングする。次にこのプラスミドを標的遺伝子にプライマーを介在させてPCRにて遺伝子変異を起こさせる。コンペテントセルをトランスフォーメーションさせてプラスミドを増幅させた後に、変異遺伝子および正常遺伝子がクローニングされているこれらのプラスミドを、リポフェクション法を用て、ラット心筋細胞に遺伝子導入を行う。RT-PCR試薬等を購入する<変異サルコメアの形態評価> 変異型のサルコメアが形態的な表現の差異を生じるか、免疫組織染色を行い評価する。変異型および正常型の遺伝子導入されたラット心筋細胞を蛍光二重染色を行う。各サルコメアの抗体を一次抗体とし結合後洗浄し、蛍光標識が付された二次抗体を結合させ洗浄後に、蛍光顕微鏡にて観察する。抗体等を購入する。 4)変異サルコメアの機能解析。発見されたサルコメア遺伝子変異が、サルコメア蛋白機能にどのような影響を与えているかを心筋細胞収縮連関を検討する。細胞内Ca2+濃度は、蛍光顕微鏡システムを用い、細胞収縮の測定は、プラチナ電極を用いて収縮を誘発し、心筋細胞の長さを持続的にvideo motion detectorで記録し、細胞内Ca2+濃度と同時記録する。解析ソフトウェアを用いて、カルシウム感受性と張力の変化に関して検討する。プラチナ電極や、解析ソフトウェアを購入する。
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