研究課題
QT延長症候群における運動負荷に対する反応について、研究を続けている。研究費申請時、すでに解析を始めていたLQT1型の原因遺伝子であるKCNQ1-G269Sについては、すでに論文としてJournal of American College of Cardiology (JACC)にacceptされた。このKCNQ1-G269S変異を持つ患者では、交感神経刺激の一種であるβ刺激をうける場合、つまり運動時などに、心電図上のQT時間が延長し、心室性不整脈による失神などの症状を呈した。さらに培養細胞系でKCNQ1チャネルを発現させ、野生型と変異型について、β刺激を模した薬剤刺激を行うと、野生型では電流量の増加がみられるが、変異型では増加しないことが明らかになった。またLQT5型の原因遺伝子であるKCNE1-E83Kについても解析を進め、昨年の北米Heart Rhythm学会で発表した。KCNE1は心臓カリウムチャネルのβサブユニットであり、KCNQ1と結合することにより、心筋の再分極に重要なカリウムチャネルを構成している。このKCNE1はKCNQ1のβ刺激によるリン酸化に不可欠であることが示唆されており、KCNE1の変異であっても運動負荷時のQT延長が著明になる。さらに、この変異についても培養細胞に発現させて野生型と比較した場合、薬剤負荷を行った場合でもカリウム電流の増加が抑制されていることが明らかになった。また、臨床像の解析は追加される症例も含めて引き続き行っている。QT延長症候群の原因遺伝子が同定された患者について、運動負荷時の変化、症状の有無などを調べている。
2: おおむね順調に進展している
現在までに二つの遺伝子変異の機能解析が完了し、一つは論文としてacceptされ、もう一つは学会発表を行い、現在論文執筆中である。また追加された新規症例についても臨床情報の集積・遺伝子解析を行い、さらに対象患者を増やして研究を進めている。
現在追加した症例も含めて、遺伝子変異と運動負荷時による心電図上・臨床上の解析をさらに進めている。また2年間のフォローアップも含めて、治療法による症状変化の解析も進めている。
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