研究課題/領域番号 |
24591587
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
羽山 恵美子 東京女子医科大学, 医学部, その他 (00349698)
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研究分担者 |
中西 敏雄 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (90120013)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 動脈管 / トランスクリプトーム / miRNA / プロテオーム |
研究概要 |
酸素感受性血管の収縮弛緩のメカニズムを探究するために、動脈管および肺動脈を対象とし、メッセンジャーRNA(mRNA)、マイクロRMA(miRNA)、タンパク質を網羅的に同定・比較する。mRNAは翻訳されてタンパク質として機能するが、miRNAはmRNAに特異的に結合し、その翻訳を抑制する。本研究では、研究1:酸素感受性が未発達な未熟(胎生19日)・成熟(胎生21日)・新生仔(生後1日)ラットの動脈管・肺動脈を分析・比較する。(24年度予定)研究2:成熟動脈管を用い、高酸素・低酸素に曝して分析・比較する。(25-26年度予定) 1. 当該年度中にラット血管試料の採取(研究1および研究2用)を完了した。すなわち、研究1:妊娠21日(満期)、妊娠19日(早期)胎仔および新生仔(1日)ラットから動脈管などの血管試料を冷却しつつ顕微鏡下可及的速やかに採取し、RNA later液に浸し、-20℃に保存した。研究2:妊娠21日(満期)ラット胎児から動脈管を冷却しつつ顕微鏡下可及的速やかに採取し、氷冷生理食塩液中に沈めた。1腹の全胎仔からの動脈管試料を採取し、2群に分け、窒素(95% N2-5% CO2)又は酸素(95% O2-5% CO2)飽和Krebs-Henseleit緩衝液中37℃で培養し高酸素・低酸素曝露試料とした。すべての試料は、血液などのコンタミを顕微鏡下徹底的に除去してプール分析試料とした。 2. Total RNAの調製 miRNAの分析にも用いるため、低分子量RNA(200塩基以下)の回収に配慮し、miRNAeasy mini kit (Qiagen)を用いて、total RNAを抽出・精製した。これらのtotal RNAをRNA-seqおよびmiRNA-seq用試料とし、近日中に次世代シーケンサーによるRNA配列の解読を委託する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
トランスクリプトームやmiRNAの分析のためのラットからの試料調製は前半の最も時間を要する作業である。 当該年度の内に本研究の全般(研究1および2)に必要なすべての動物血管試料の採取を完了したことは大きい。 トランスクリプトームやmiRNAの次世代シークエンスによる解析のため、業者の選定後、速やかに発注することが可能な段階になった。 タンパク質の解析もRNA抽出後の試料からタンパク質を抽出する段階に来ており、分析は未着手であるが、分析試料の準備はよく進行んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
トランスクリプトームやmiRNAの次世代シークエンスによる解析を以来発注し、その結果を得て次の研究を推進する。1. トランスクリプトームのデータの解析:トランスクリプトームの結果から発現量や融合遺伝子の違いにより各試料の特徴を検出する。発現全miRNAのデータから、miRNAデータベース(TargetScan, Miranda, Pictar等)にアクセスし、ターゲット遺伝子情報(アノテーション)を網羅する。次いで発現量の比較的高いものや、試料間で差が大きいmiRNAについて、mRNA(トランスクリプトーム)の結果と照合し、翻訳抑制の可能性を検討する。胎仔の発達段階や動脈管・肺動脈で明らかに違いがある遺伝子を探る。2. 特異発現mRNAやmiRNAをリアルタイムPCRを用いて定量の実施:前項の解析から特に重要と思われる遺伝子を定量PCRで精密に発現量を測定する。第2項で調製したtotal RNAから逆転写反応によりcDNA試料を調製し、測定試料としてリアルタイムPCR法により発現RNAの定量を行う。ターゲット遺伝子の一部をクローニングしたプラスミドをスタンダードとして段階希釈し標準曲線を作製して絶対定量を行う。内部標準として18Sを用いる。 RNA抽出後の可溶化した血管試料からタンパク質を回収し、 蛍光標識二次元ディファレンスゲル電気泳動法による発現量の変動解析を実施する。すなわち、回収されたタンパク質を、8Mウレア、4%CHAPSを含む可溶化用緩衝液により再度可溶化する。各組織試料由来のタンパク質を2種の蛍光色素で標識し適宜一括して同一ゲル上で等電点/SDS二次元電気泳動を行う。発現量の変動を比較しそれぞれに特徴的なスポット(タンパク質)を検索する。
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次年度の研究費の使用計画 |
1. トランスクリプトームおよびmiRNA解析依頼のための費用 2. 蛍光標識二次元ディファレンスゲル電気泳動やリアルタイムPCR実施に関わる試薬・消耗品類の購入
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