研究課題/領域番号 |
24591593
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
福田 晃也 独立行政法人国立成育医療研究センター, その他部局等, その他 (60455417)
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研究分担者 |
阪本 靖介 独立行政法人国立成育医療研究センター, その他部局等, その他 (00378689)
笠原 群生 独立行政法人国立成育医療研究センター, その他部局等, その他 (30324651)
梅澤 明弘 独立行政法人国立成育医療研究センター, その他部局等, その他 (70213486)
今留 謙一 独立行政法人国立成育医療研究センター, その他部局等, その他 (70392488)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | EBウィルス |
研究概要 |
国立成育医療センターで施行した175 例の小児生体肝移植術において不顕性感染を含めて55.4%が移植後にEBV の定量PCR解析にて陽性を示したため,免疫抑制剤の減量を行うことによりPTLD の発症を1 例も認めていない.一方で免疫抑制剤の減量は拒絶反応の出現につながることを常に考慮しなくてはならず至適な免疫抑制療法をするためのモニタリング方法が必要である. 1. 小児における免疫抑制剤の血中濃度以外の新しいパラメーターとしてCD4+T細胞のATP活性を測定した.成人固形臓器移植術後における免疫状態の指標として,CD4陽性リンパ球ATP活性を評価した報告によるとATP活性が225ng/ml以下では免疫状態が低下した状態で感染のリスクが高まり,525ng/mlでは免疫状態が強くなり拒絶のリスクが高まるとされている.当院で小児生体肝移植を行った患児51名において拒絶・感染状態にない安定状態でCD4+T細胞ATP活性を測定したところ83-294ng/mlと成人に比較して低値をとることが判明した.またEBVの定量的PCR法にてEBVのDNA検出量とCD4+T細胞ATP活性値,急性細胞性拒絶反応とCD4+T細胞ATP活性値との間に有意な相関関係は認められなかった. 2. EBV 感染の診断において乳幼児における血液サンプルの採取には患児の苦痛と充分なサンプル量を得ることができない場合も少なくないため,口腔粘膜擦過および唾液の採取による定性的あるいは定量的EBV-PCR による非侵襲的なスクリーニング法の可能性について検討した.当院で小児生体肝移植を行った患児4名において,口腔粘膜擦過および唾液をサンプルとした定量的PCR法にてEBV DNA量を測定したところ3名でEBV DNAが検出され,いずれも血中よりも高いゲノム量を示したことから,今後サンプル数を増やして検証していく方針である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1. 移植後レシピエントの血液サンプルを用いた定量的EBV-PCR 検査を施行しゲノム数の変化を追跡する.同時に口腔粘膜擦過および唾液により得られたサンプルを用いた定性的 EBV-PCR 検査を施行し症例の蓄積ができている. 2. T 細胞をはじめとする免疫細胞表面抗原の発現解析をフロー・サイトメトリー(FCM)法を用いて,CTL 活性のモニタリングにより免疫抑制剤投与量の調節を行い,EBV 感染症による移植後リンパ球増殖性疾患に罹患した患児は一人もいない.
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今後の研究の推進方策 |
従来のカルシニューリン阻害薬の血中濃度のモニタリングに加えて,EBV-PCR のゲノム数,フロー・サイトメトリーを新規マーカーとしてカルシニューリン阻害薬を個々の症例毎に調節し,EBV 感染状態の変化,その他の感染症発生頻度,T-cell のsubset のプロファイリングにつき検討する.口腔粘膜擦過によりえられたサンプルの定性的EBV-PCR 検査法の検出率と血液中の定量的EBV-PCR 検査の結果とを比較検討し,口腔粘膜擦過サンプルによるスクリーニングの可能性を検証する.
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次年度の研究費の使用計画 |
従来のカルシニューリン阻害薬の血中濃度のモニタリングに加えて,EBV-PCR のゲノム数,フロー・サイトメトリーを新規マーカーとしてカルシニューリン阻害薬を個々の症例毎に調節し,EBV 感染状態の変化,その他の感染症発生頻度,T-cell のsubset のプロファイリングにつき検討する.口腔粘膜擦過によりえられたサンプルの定性的EBV-PCR 検査法の検出率と血液中の定量的EBV-PCR 検査の結果とを比較検討し,口腔粘膜擦過サンプルによるスクリーニングの可能性を検証する.
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