研究課題
国立成育医療研究センターでは2005年11月より2015年3月までに330例の小児生体肝移植術を施行しました.不顕性感染を含めて185例(56.1%)が移植後にEBVの定量的PCR解析にて陽性を示し,免疫抑制剤の減量によりPTLD(移植後リンパ球増殖症)の発症を1例も認めていない.一方で免疫抑制剤の減量は拒絶反応の出現につながることを常に考慮しなくてはならず至適な免疫抑制療法を施行するためのモニタリング方法が必要である.1. 昨年度の研究にて免疫抑制剤の血中濃度以外の新しいパラメーターとして感染リンパ球に対する細胞障害性T細胞活性の測定による患児免疫状態を評価.小児生体肝移植後におけるCD4陽性リンパ球ATP活性値の推移について検討した.EBV-PCR定量検査にて2.4×10E3copies/mcgDNA以上のゲノムが検出された場合EBV感染ありと定義した.今回の我々の検討では小児肝移植例でのEBV感染107例ではIK値が逆に有意に高値をとることを論文化した.2. EBV 感染の診断において乳幼児における血液サンプルの採取には患児の苦痛と充分なサンプル量を得ることができない場合も少なくないため,唾液の採取による定性的EBV-PCRによる非侵襲的なスクリーニング法の開発.昨年度は血球中EBV-PCR検査にて10×10E4 copies/mcgDNA以上のゲノムが検出された12症例に関して唾液中のEBV-PCR検査にてEBVゲノムが検出することが可能であったことを明らかにしたが,今年度は移植後早期の段階で唾液検体のゲノム数の検出能について42検体で検証を行った.血球中EBVゲノム数>10×10E2 copies/mcgDNAを陽性と設定した場合,唾液検体についてはゲノム検出されたものを陽性とすると感度50%,特異度66%であった.
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Pediatric Transplantation
巻: 19(2) ページ: 144-152
10.1111/petr.12402
今日の移植
巻: 27(4) ページ: 271-278