研究概要 |
在胎期間36週以上の137名の新生児を対象に、臍帯血を用いてコルチゾール値とコルチゾン値を測定した。胎盤 における 11βHSD2 活性として臍帯血コルチゾール/コルチゾン比(F/E比)を用いて評価し、出生時体格との関係、 IGF1 と IGF2 、その比との関係をSGA児とAGA/HGA児とで比較検討した。 AGA/HGA108人、SGA29人で、それぞれ平均在胎期間に差はなかった。 AGA/HGA児とSGA児の臍帯血の各測定値は、 IGF1(73.2±28.1、47.4±19.3ng/ml, p<0.0001)、IGF2(754.7±242.5、696.9±152.3ng/ml, p=0.06)、IGFBP3(0.87±0.17、0.75±0.17, p=0.0007)、IGF1/IGF2比(0.11±0.06、0.07±0.03, p<0.0001)、コルチゾール(8.3±3.5 、6.9±3.0pg/ml, p=0.02)、コルチゾン値(183.6±84.6、172.0±63.1pg/ml, p=0.22 )、F/E比(0.05±0.02 vs 0.04±0.02, p<0.04)であった。SGA児において有意に臍帯血IGF1値とIGF1/IGF2比が高く、コルチゾール値とF/E比が高い結果であった。これはSGA児において、胎盤11βHSD2活性が低く母体コルチゾールの影響を受けている可能性を示唆した。 さらにF/E比とIGF1,IGF2との相関は全体でIGFBP3とF/E(r=-0.31, p=0.001)で、AGA/HGAではIGF1とF/E比(r=-0.24,p=0.01)、IGFBP3とF/E(r=-0.31, p=0.001)には負の相関を認めた。これらよりIGF1,IGFBP3が胎盤 11βHSD2活性に影響を与えている可能性を示唆した。
|