研究実績の概要 |
今年度は、さらに検体数を増やして胎盤HSD11B2発現および尿中(alloTHF+THF) /THE比(以下尿中F/E比)と胎児発育との関係を検討をした。また、性差の有無も検討した。 計150人の新生児を対象に、HSD11B2遺伝子発現(89名)および胎児組織における11βHSD活性の指標として尿中F/E比(83名)と胎児発育との関係をAGAとSGA児の二群で検討した。22名で両者を測定した。 HSD11B2遺伝子発現を測定した89人中30人がSGA児であった。胎盤HSD11B2遺伝子発現はSGA児で有意に低く(p=0.03)、出生体重のSDS(r=0.22, p=0.03)と出生頭囲のSDS(r=0.37, p=0.002)とそれぞ正相関した。男女別の比較(男児40名、女児49名)では、胎盤HSD11B2遺伝子発現は女児にのみSGA児で有意に低く(p=0.01)、男児では有意差を認めなかった(p=0.41)。また、各体格との相関は、女児においては出生体重SDS(r=0.36, p=0.01)、出生時頭囲SDS(r=0.58, p<0.0001)で胎盤HSD11B2遺伝子発現と正相関した。男児ではいずれも相関も認めなかった。 尿中F/E比を測定した83名中SGA児は8名で、尿中F/E比はSGA児で有意に高かった(p=0.0001)。尿中F/E比の中央値で二群に分けて高値(H)群と低値(L)群で比較すると、SGA児は全例H群であった(p=0.005)が、出生時体重SDS(p=0.07)、出生時頭囲SDS( 0.20 ±0.71, p=0.2)、出生時身長SDS(p=0.3)と各体格には有意差を認めなかった。男女別の比較(男児40名、女児43名)では、尿中F/E比は女児にのみSGA児で有意に高く(p=0.02)、男児ではその傾向は認めなかった(p=0.23)。H群とL群で比較では、性差は認めなかった。
|