研究課題
昨年度までの成果から胎仔脳出血を発症する低蛋白食群ではCOX4i1などのミトコンドリア関連遺伝子の発現量が虚血再潅流負荷によって増加していた。このとから虚血再潅流負荷によるミトコンドリアの異常活性が示唆された。そこで、低蛋白食群、対照群でそれぞれ虚血再潅流負荷前後の脳を採取、ATP活性を定量化し、虚血再潅流負荷負荷後の低蛋白食群でATP活性が増加していることを確認した。COX4i1などミトコンドリア関連遺伝子のmRNA発現量がp53発現量と特異的な相関を示したこと、pifithrin-alpha (PFT-alpha)の低蛋白食群母獣投与により脳出血発症率が対照群と同程度(約20%)まで抑制されたことからp53シグナルの胎児脳出血発症への関与が示唆された。PFT-alphaは核内およびミトコンドリア両方に作用するp53抑制剤であるため、脳出血発症に寄与するp53シグナルが核内かミトコンドリアかを判別するため、ミトコンドリアのp53シグナルを特異的に阻害するPFT-muを低蛋白食群母獣に投与し、虚血再潅流を負荷したところ、無投与群(約80%)とPFT-alpha投与群(約20%)の中間(約50%)の脳出血発症率を示した。この結果から胎仔脳出血発症に関与するp53シグナルは核内、ミトコンドリア両方に存在することが示された。現在、PFT-alpha投与した低蛋白食群胎仔脳のmicroarrayデータから発症に関するシグナルを特定するべく解析を継続している。
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http://www.fetalecg.med.tohoku.ac.jp/kimuralab/kimuralab_top_jn.html