研究課題
(1)胎児新生児期に発症する遺伝性不整脈の全国調査小児循環器科医が所属する主要な施設を対象として胎児・新生児期に発症する先天性QT延長症候群(LQTS)の調査を行い、全国48施設から計82例が登録された。遺伝子検査は61例(74%)で行われていて、そのうち遺伝子型が判明したのは45例(74%) で、LQT1: 16例、LQT2: 12例、LQT3: 13例、LQT8: 4例であった。重症な経過を呈したのはLQT2, 3, 8型であったが、これらの家族歴陽性率は0~38%と低かった。診断の契機となった重要な心電図所見は、洞性徐脈、機能的房室ブロック(AVB)、torsade de pointes/心室頻拍の3者であった。AVBは幼児期以降に消失する傾向があり、同じ遺伝子変異を持っていても乳児期と成人期におけるイオンチャネルに違いがある可能性や、他の修飾因子の関与を示唆していた。これらの不整脈や家族歴がある場合はLQTを疑って早期診断に努め、救命のために多剤薬物療法とデバイス治療による早期介入を行う必要がある。(2)LQTSのT波の解析LQTSにみられるT波異常は再分極過程に含まれる過剰成分に由来するという仮説を立て、独立成分分析(ICA)と主成分分析(PCA)でこの成分の検出を試みた。LQT1: 22例、LQT3: 12例および健常者30例を対象とした。ICAの結果:対照群全例でT波は4つの基本独立成分(IC)から構成されていたのに対して、LQT1では5-6個、LQT3では6-7個のICが検出された。PCAの結果:PCA ratio (第2主成分/第1主成分比)は健常群に比してLQTSで有意に高値を示した。このことは、ICAやPCAは再分極過程の不均一性の評価に有用であることを示している。しかし、有症状例と無症状例の比較では有意差が認められず、今後の検討が必要である。
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